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- Re: 甘美な果実〜微かな吐息〜【短編集】【10/13更新】 ( No.85 )
- 日時: 2014/10/18 16:40
- 名前: 朔良 ◆oqxZavNTdI (ID: 2IhC5/Vi)
「カラメルたっぷりプリン」
今にも飛んでしまいそうなくらい舞い上がる私の心。毎週金曜日の日課は「カラメルたっぷり! 極上プリン」を食すことだ。一つ五二〇円もするこの極上プリンを食し、平日を終えることが何よりも素晴らしい休日の迎え方!
「さーて、私のプリンちゃん〜」
冷蔵庫の扉を開き、物陰に隠してあるプリンの姿を探す。バターやベーコンを寄せながら探す、探す、探す……
「……ないっ?!」
命の次に大事と言っても過言ではないくらい大事な極上プリンが跡形もなく消え去っていた。私の極上プリンを食べる人間……それは、この家に私よりも早く帰って来ているのであろうあの男しかいない。
冷蔵庫の扉を勢いよく閉めて、とある部屋のノブを怒りを込めて思い切り捻って扉を前に押し出す。
「晃ー! 私の極上プリン勝手に食べ……あー! その今まさに口に運ぼうとしているのは……」
晃の口元にあるスプーンに乗ったプリンには私の叫び声も届かず、一瞬で晃の口の中に吸い込まれてしまった。
「……あ、恵利香帰って来ちゃったのか」
「私のプリンを食べるなんて……切腹を覚悟した上での行動かー!」
私は叫びながら晃に向かってダイブする。晃は「ぐえっ」と妙な声を上げた。晃の左手にあるプリンの箱には何も残っておらず、綺麗に食べられていた。
「あきらあああああ……滅びろ!」
「ご、ごめん、ごめんってば恵利香!」
「私が金曜日にプリン食べること知ってるでしょ! 最低だー!」
晃の胸倉を両手で掴み、ぐらぐらと揺らす。晃はしばらく「ごめん」を繰り返して、急に私の身体を抱きよせて頭を優しく撫でた。
「……」
「ごめんな。プリンならまた買ってくるから」
「……からめるたっぷり! 極上プリンじゃなきゃ許さんわボケ」
「分かってるよ」
結局こうしてなだめられてしまう。月に二回は必ずこうして晃にプリンを食されている気がする。
「バカ晃」
「はいはい。ごめんね、恵利香」
しかし、私たちの結婚はもう間もなく。そうなったら、金曜日のプリンを火曜日と金曜日のプリンにしないといけないだろうか。
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*久我恵利香 Erika Kuga
*桃木晃 Momoki Akira
ええ、ええリア充なのです。
恵利香みたいなバカみたいに突っ走るキャラクターも書いていてすごく楽しいです。
しかし、プリンって美味しいですよね。チョコプリンとか大好きです。