コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 飛鳥予知夢 ( No.15 )
- 日時: 2014/03/05 06:07
- 名前: memory (ID: BT8pEM9W)
8、 近江に向かえ
飛鳥と衣織が、すやすやと寝始めると、また静かな夜に変わった。
もう、丑三つ時を過ぎているのだろうか。
宿の周りも静まり返っていた。
朝になれば、キラキラとした太陽がその強い日差しで人々を起こしてくれる。
その光で、衣織は目を覚ました。
「ふぁーあ。よく寝たぁあ。」
といっても、まだ眠気が残っている。
だが、旅の疲れはだいぶ取れたようだ。
衣織が横を見れば、まだ飛鳥と星羅が寝ている。
自分だけ早起きしているのは、馬鹿馬鹿しい。
衣織は2人を軽く揺する。
「おーきーて。飛鳥ー、星羅さん。朝なんだけど。」
しばらく揺すっていると、やっと星羅が起き上がった。
「うーん……。衣織さん?もう起きてたの……?」
星羅はまだ眠たそうだが、衣織が無理矢理起こす。
そして、飛鳥を揺する。
今度は、星羅も一緒だ。
「おーきてー。飛鳥ぁ!!」
「飛鳥さーん。朝だよ……?」
しばらくしても、飛鳥が起きる気配はない。
2人は諦め、今後のことを話す。
「今日は、早速近江に向かうんだよね?」
星羅は得意の可愛らしい笑顔を見せる。
だが衣織は、もうその笑顔に慣れて、全く気にしていない。
「はい。もうすぐ、ここを出ます。あと5日の間に、坂野結城さんを見つけましょう!」
とうとう宿を出る時。
「おいおい。大丈夫かい。か弱い女が、男をおぶって。」
衣織は、飛鳥をおぶっていた。
そこで、宿の若旦那が心配して声をかけてくれたのだ。
「大丈夫です!こっちの男と、交代しますからね!」
こっちの男とは、もちろん星羅のこと。
星羅は若旦那に軽く会釈した。
すると、若旦那は目をまるくして、言った。
「はぁあー。あんた、男だったのか。美人なもんで、女かと思ってた。あんたら、本当に不思議な奴らだな。」
若旦那と別れると、3人は近江へと向かう。
宿から少し行ったところで、衣織と星羅は、どこからともなく流れてきたある噂を耳にした。
その噂は、赤の勾玉を持った、目を見張るほどの美少年が衣織たちが歩いている道を通った、ということだった。
ーこれは、いい情報だ。
衣織と星羅はうっすらと微笑んだ。
そして途中、飛鳥をおぶるのを交代し、少しずつ、近江へと近づいて行く。
それから、何回交代しただろうか。
飛鳥が、目を開けた。
衣織と星羅の顔が、喜びに満ちる。
ーここは、どこだ……?
飛鳥は、辺りを見渡す。
衣織と星羅は、飛鳥の顔を除き混む。
「なんだよ。星羅さんまで……!?」
飛鳥は、予知夢と同じ言葉を言う。
だがまだ、飛鳥は予知夢のことに気づいていない。
このごも、3人の会話は飛鳥の予知夢通りに進んでいく。
そして、星羅が目をうるませたところでやっと、飛鳥は夢に気づいた。
「あっ。ね、あのさ……!」
2人は飛鳥を振り向く。
「いまの……、夢で、見た…………。」
ーあぁ、ぼくはなんで気づかなかったんだろう。
飛鳥は、心のなかで頭を抱え込む。
だがそんな飛鳥の心のなかを知らずに、星羅は言う。
「えっ。飛鳥さん、夢で見たってどういうこと……!?あ、もしかして、予知夢……とか?」
飛鳥の予知夢のことは、まだ星羅に話していない。
飛鳥は簡単に説明する。
まだ、心はぼんやりしているのだが。
「はい……。ぼくは、予知夢を見ることができます。」
星羅の顔は尊敬の眼差しに変わる。
「すごいね、飛鳥さんって……!!」
衣織は2人のやりとりを眺めて、言った。
「ねぇ、近江に向かうんでしょ。あと5日の間に、坂野結城さんを探すんでしょ!?早く、行こぉよぉ。」
まだ、近江への道はこの3人では遠いようだ。