コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 飛鳥予知夢 ( No.16 )
- 日時: 2014/03/07 22:18
- 名前: memory (ID: BT8pEM9W)
9、 太陽の神
飛鳥たち3人は2日かけて近江に着くと、次は坂野結城を探す。
今は朝日が天に昇り、キラキラと朝露が輝く。
近くの村の農民によると、赤の勾玉を持った少年は隣の村にいるようだ。
その少年は、恐ろしく強いと近江でも有名で、この辺りでその名を知らない者はいないとまで言われた。
「早くしようよ!人間だから逃げちゃうんだよ!?」
衣織は2人を急かすと、歩き出す。
「こいつ、1人で旅が出来るのか出来ないのか分からない……。」
飛鳥が呆れたように言うと、星羅がクスリと笑った。
「ふふっ。そうだね。」
衣織はそんなことにも関わらず、明るく歩いている。
ーが、途中で足が止まった。
「?」
川辺で、少年が歩いているではないか。
年は、10くらいだろうか。
目はぱっちりとし、どこか鋭い。
短い髪を後ろの下の方で結んでいる。
さらに、顔がほっそりとして、整っていた。
そんな美男子を、放っておく衣織ではない。
衣織が男好きとか、そういうのではなく、今探しているのは、近江にいる美男子だ。それも、とびきり強い。
「ねぇ、君ーっ。待って、止まって!!」
少年は、不思議そうに振り向く。
「なあに?お姉さん。」
年上にも関わらず、少年は衣織に堂々と話しかける。
恐れもせず、怖がることもなく。
すると星羅が少年の目の高さに合わせてかがみ、にっこり笑いかける。
「ぼくが話してもいいかな……?君、勾玉を持ってない?赤色で、きれいなの。それで、君の名前は、坂野結城さん……?」
少年は大きくうなずくと、首にかかった紐を3人に見せながら、言った。
「ぼく、坂野結城。」
紐には、きれいな赤い勾玉が通り、朝日に反射して、輝いていた。
「君は、太陽の神様だよ!!」
飛鳥は、星羅のときと同じように結城に話を聞かせた。
そして、結城の旅の許可がおりると、次の神を探しに、また歩く。
衣織が旅に出てから、もう半年になる。
いったい、いつ9人の神はそろうのか。