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Re: 飛鳥予知夢 ( No.19 )
日時: 2014/03/19 05:55
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


11、 宿の情報


飛鳥たち4人は、大和に着くと、宿を探した。
今度こそ、ゆっくりと休みたいのだが……。
今までは、満足に休めていない。
少しの疲れが重なって、大きな疲れになっている。
その大きな疲れを、今回の宿でなくしたいところだ。

やっとのことで宿を見つけると、4人は宿に入る。
「……いらっしゃい。」
旦那らしき人物が、興味なさそうにボソッと呟くように言う。
無愛想、というのだろう。
かなり目付きが悪く、睨み付けるようにして、飛鳥たちを部屋に案内した。
案内といっても、小さな宿なので、はじめて来た飛鳥たちでも、すぐにわかるところに部屋があった。

部屋の中は意外にもきれいで、清潔だった。
小汚い飛鳥には、少し似合わないくらいだ。
「うぅー。やっと休める。」
衣織は、手を、足を、大きく伸ばす。
「だね。疲れたっ。」
星羅は、ニコッと笑いながら、正座した。
結城はというと小さな部屋の中を探検しているし、飛鳥は子供な衣織と結城を見て、小さく微笑んでいる。

「ねぇ、この宿を出たら、次はどこにいく?決めておいた方が、いいんじゃないですか。」
飛鳥は3人に聞く。
すると衣織と結城がうげっとでも言いたそうな顔をした。
「うそぉ。今決めるの?なんか、休んでる気がしないんだけど……。」
「飛鳥兄さん、厳しすぎだよー。やめて、あ、やっぱ別にいいけど」
今の会話から、衣織のほうが子供ということがわかってしまった。

星羅は、まずは宿の旦那から情報を聞き出してから目的地を決めるといいと提案する。
他に異義はなかったので、旦那に聞いてみることにした。

だが、問題が起きる。
この宿の旦那は、これまで見たことのないくらい無愛想だ。
そんな旦那から、情報を聞けるのだろうか。
恐らく、無理だ。
聞くならば、かなりの勇気がいる。

次は、結城が提案した。
「衣織姉さんがいいよ。女は、いざとなったら泣けばいいんだもん。」
なぜかこの言葉で、あっさり衣織に決定した。

衣織は、旦那に近寄る。
かなり、警戒しているようだ。
「あっ、あのー。だん……な。ちょっと、いいですか。」
旦那は、持ち前の無愛想顔で、衣織を見る。

「えっとねぇ、そのぉー、勾玉持った人、知ってますか?とびきりきれいな勾玉なんですよね。」
衣織は少し遠慮ぎみに話していく。
旦那は、少し驚いたものの、すぐに口を開いた。

「へぇ、あんたら、あいつの知り合いか……?おう、知ってるともさ。」
衣織はほっとしながら、さらに聞く。
「何色の勾玉ですか!?で、あと……」
旦那は、少し面倒くさそうに顔をしかめた。
「わーた。わーたって。全部、話してやる。よく聞け。」
その一言で、宿の中は水を打ったように静かになった。

「この宿に泊まっていった奴は、白の勾玉を持っていたな……。かなり輝く勾玉だったし、ここらじゃ見たことのねぇ図体をしてやがる。それに……、村の娘らが振り返るほどの美青年だった。それで、話しかけたんだよな。これから、どこに行くんだって。そしたら、出雲に行くとさ。」
旦那の話は、ここで途切れる。
飛鳥は、小さく口を開いて、旦那に聞く。
「その人……、いつ、この宿を出ましたか?」
すると旦那は、少しだけ、微笑んだ。
「そいつを、探してるのか。……青年は、昨日この宿を出たさ。」
そう言って、旦那は部屋を出た。

4人は、驚いた後、喜び、喜んだ後、ため息をついた。
「何で宿に泊まるといい情報がもらえるんだろ……?なんか、新しい神様と会えるもとになるけど、休めないし……。」
衣織は短くため息をつく。
確かに、宿で情報をもらえるのは2度目。
飛鳥たちが考えもしていなかったことだ。
だが今は、休みたい一心である。
昨日宿を出たらしいので、今日のところはゆっくり休むことにした。

夜が明ければ、太陽が昇って暖かくなる。
だが、起きたばかりで結城の元気はなく、太陽も薄い雲に隠れている。
他3人は、十分に休んだので、いつもよりシャキッとしていて、爽やかだ。
「よし、出発ー。」
衣織はみんなを呼ぶと、歩き始めた。