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Re: 飛鳥予知夢 ( No.20 )
日時: 2014/03/19 22:20
名前: memory (ID: BT8pEM9W)


12、 風の神


太陽が昇る朝頃。
雲が太陽に透けて、光が漏れている。
外は明るく、ある4人の影が出来ていた。

飛鳥たち4人は、2日ほどかけて、やっと出雲いずもに着くことができた。
結城ははじめて、こんな長距離を歩いたが、まだまだ体力は残っているようだ。
飛鳥たちはというと、あの大和での宿の休憩は、無かったくらいつかれている。
飛鳥や星羅はまだしも、衣織は細い体の少女。
そんなに体力はもたないだろう。

村では一番強かった飛鳥だが、年下の少年に上を越されている。
剣さばきは、飛鳥のほうが圧倒的に上だが。
体力で負けてたまるか。
飛鳥はそう、自分に言い聞かせながら前を向く。
結城は、かなり先を歩いていた。

「出雲っていっても、広いんでしょー?どこから探すの?」
結城は大声で聞く。
衣織は、どんなに疲れていても、返事だけは返そうとした。
「うん、そこらの人に、聞いてみようか。たぶんかなり早く見つけられると思う……。」
だが、そこで力尽きたのか、地面にへたりこむ。
そこを星羅が受け止めた。
飛鳥は衣織を星羅に任せ、結城に叫ぶ。
「結城ー。近くにいる人に、聞いてくれるー?」
すると結城は元気よく答えた。
「いいよー。ちょっとそこで待っててー。」

しばらくして結城が戻ってきた。
「どうだった?」
飛鳥たちは、結城に聞く。
結城は髪をゆらしながら、爽やかに答える。
「んとね、そこら辺にいたお姉さんが、ついさっき見たって。でー、あっちに向かったって!!スゴいねっ。ついさっきだよ、すぐ追いつくよ!?」
確かに、今走れば追いつくだろう。
だが、まだ完璧には回復していない衣織には、辛いだろう。
そこで、結城と飛鳥は先に神の元へと行くことにした。

少し走れば、結城と飛鳥の2人は、男らしき影を見つけることができた。
呼んで男が振り向いてみれば首には白の勾玉が光っている。
「おれに何の用だ。」
男はかなり、不機嫌そうだ。
「すいません。いきなりですが、ぼくたち、あなたのような勾玉を持つ人を探しているんです。少し、お話したいのですが。」
すると男は、細く微笑む。
「ほぅ。つまり、おれを探してたって言ってんのと同じっつーことだな。」
飛鳥は少し驚いたように言う。
「当たりです。よく分かりましたね。それで、あなたと旅がしたいのです。」
「どういうことだ。それはよく分からねぇ。」
男は、顔をしかめて、ついでに飛鳥を睨む。
飛鳥は怯えるどころか、にっこり笑う。
「そうですよね。説明しましょう。まず、あなたの持っている勾玉。白色ですよね。ぼくが持っているのは、黄色です。」

「……それがなんだって言うんだ。」
男は少し、気味悪そうにして言った。
飛鳥は、構わず続ける。
「ぼくは、雷の神です。ーということは……?」
「おれが、なんかの神ってことか。」
男は事態を理解したものの、これが現実なのか分からなくなってきた。
「マジか。すげーな。」
平凡を、装った。
「信じてくれるの!?じゃ、早く衣織姉さんと星羅兄さんのところ、行こ。」
結城はさっさと男の手を引いて、歩いて行く。
飛鳥は、歩いているうちに、男に全部話した。

「ーおれ、風の……神かよ。すげえ。」
飛鳥は、男に名前を聞いてみる。
男は、古沢東こさわあずまというそうだ。
「東さん、そのうち、あなたも、風を操れるようになれますよ。」
その一言で、東のなかに火がついた。
「燃えてくるぜっ。」
だが、その火はすぐに消え去った。
東は真面目な顔つきになると、口を開いた。
「おれらって、すげえ出会いだな。不思議な縁で結ばれてんじゃねーの。」
まさに、そのとおり。

3人は衣織たちのもとに着くと、東を紹介し、少しだけ休憩をとった。
次の行き先は、何処か。
その前に、何時決まるのか。