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- Re: 魔法使いの青春理論 ( No.6 )
- 日時: 2014/02/26 21:18
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: oq1piOCI)
【第一章 結成—organization—】
01.
ギルド設立から一週間が経った。
依頼は難なくこなしているけど、メンバーはまだ二人だけだ。
「はぁ〜…メンバーってなかなか集まらないねぇ…」
ソファーに突っ伏す私に、紅茶を持ってきたユリが悩ましげに言った。
「そうですね…。今の時期はちょうど書き入れ時だというのに…」
なぜ今の時期が書き入れ時なのかというと、卒業式があるからだ。
卒業後は大抵の人間は就職する。
ちゃんとした職業であるギルドに入る人も少なくはない。
ちなみに、この地域では、子供は五歳から十五歳まで教育を受ける義務がある。
今年で十七歳になる私とユリはとっくに卒業していた。
「やっぱりみんな大規模ギルドに行っちゃうのかなぁ…」
「大人数のほうが安全だと考えている方が多いのでしょうね」
ユリはそう言って、「では失礼します」と立ち去ろうとした。
「待って、ユリ」
すかさずその手を掴む。
「ユリも一緒にお茶しようよ。ほら、座って」
「で、ですが、お部屋のお掃除を…」
「掃除なら後でやろうよ。私、ユリと一緒にお茶もしたいし、掃除もしたい」
「…分かりました。ご主人様の仰せのままに」
ユリはソファーに腰を下ろすと「やはりご主人様には敵いませんね」と微笑んだ。
私の自宅であるこの屋敷に住んでいるのは、私とユリだけだ。
なぜ二人だけなのかというと、それには辛い過去があった。
まあ、今のところはそれはさておき、仲間を集めなければ。
掃除を終わらせた後、再びユリと勧誘しに行こう。
++++
太陽が西に沈んでいく午後、仲間集めに向かった私とユリは
"依頼ポスト"というところに立ち寄っていた。
ここは依頼状の集積地だ。
魔法ギルドはここで依頼状をもらい、それを遂行して賞金を得るのだ。
今回、私たちが引き受けた依頼は「忘れ物届け」だ。
依頼状によると、西の森の奥深くに書類を忘れていった、とのこと。
西の森はモンスターなど危険生物のテリトリーであるため、注意が必要だ。
…と、言うことで、私とユリは西の森に向かって飛んでいた。
私は杖に跨がって、ユリは翼は生えてないものの鳥の如く、空を翔る。
飛行魔法は五本の指に入るほどの高度な魔法だ。
道具を使っても、私みたいに幼いころから練習しないと上手く飛べない。
そんな魔法を、ユリは道具なしで、自由自在に使っている。
話によると、ユリは先祖に鳥人——鳥の獣人——がいたという。
その血が僅かでも流れているから、こんなにも自由に飛行できるのだろう。
理由は何にせよ、後ろで一つに束ねた白い髪をなびかせて飛翔するユリは、
綺麗な声で鳴く青い鳥よりも美しく見えた。
「今回は選ぶの失敗したね。森にはギルドに入ってくれる人なんていないもん」
「ですが、もしかしたら奇跡的な出合いがあるかもしれませんよ?」
「ユリが言うなら期待しちゃおうかなぁ」
笑い合いながら、森へ向かって進んでいく。
その"奇跡"が起こるなんてことは知らずに。
