コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 【狼男が】魔法使いの青春理論【仲間入り】 ( No.108 )
日時: 2014/04/26 22:20
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: ftDNog01)

  37.


 俺はオオカミ人間の村の一般家庭で生まれた普通の子だ。
 しかし、本来とは違う色の目を持ってしまった。
 何故そうなったのか…突然変異だと言われているが、真の原因は謎だ。

 この緑色の目のせいで、俺は他人、親戚、そして家族にまで気味悪がられた。

 もしありきたりな物語だったら、そんな俺のもとに救世主とか言う
 人物が現れるだろうが、現実はそんなに優しくない。

 俺はいつどこにいても孤独だった。

 やがて教育課程を終えた俺は、その日の夜中に故郷を出た。
 もちろん誰にもサヨナラなんて言ってない。

 とにかくあんな村から離れたくて、都会にたどり着いた。
 都会にはいろんな人種が共存している。
 だからもう気味悪がられることはない、そんな思いを抱いて。


 しかし、俺にはなかったのだ。
 他人と上手く接する勇気が。


 だからギルドに入ろうとはせず、依頼を見つけては一人でこなしていた。
 相変わらず孤独だった。

 カシワギ邸に侵入して、呆気なく捕まったとき、もうこれでいいやと思った。

 この先もずっと孤独でいるなら、虐げられているほうがマシなのかもしれない。


 だが、そんなところに、一人の少女が落ちてきた。


 少女はこの忌々しい瞳を見て、こう言ったのだ。

「目の色、綺麗」と。

 その声、その言葉、そして俺の瞳をじっと見つめるその表情…。
 全て、初めてのものだった。

 次の瞬間、俺の心に、ある一つの感情が芽生えた。
 それは、今まで自分とは無関係だったけど、
 こんな感情を抱けたら…と、密かに憧れていたもの。


 人はそれを、恋と呼ぶ。