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- Re: 【狼男が】魔法使いの青春理論【仲間入り】 ( No.109 )
- 日時: 2014/04/29 11:38
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: 4n3MlAWB)
38.
「…ってなワケで、今日から百花繚乱のメンバーになったヒイラギだ。
その…よ、よろしくなっ」
ヒイラギが緊張気味に頭を下げると、
メンバーたちは口を揃えて「よろしく!」と返した。
あの後、夜明けと共にカシワギは逮捕された。
カシワギが麻薬カルテルの総帥だったことを、ユリたちがその証拠を添えて
明かし、彼の身柄は私とヒイラギが引き渡した。
カシワギの妻も逮捕され、使用人たちの身柄も警察の下にある。
また、麻薬の実験台として捕らわれていた人たちも無事に保護された。
で、私たち百花繚乱のメンバーは、警察に事情を話したり、
現場の後片付けをしたり、ずっとバタバタしていた。
それらから解放されたのは夕方だった。
屋敷に戻り、私はヒイラギのことをメンバーに紹介した。
四人ともヒイラギの加入を喜び、「早速歓迎会しようぜ!」と準備を始めた。
…で、今にいたる。
「よろしくなーヒイラギ!オレはクレハ!」
「ああ、よろしくな、クレハ」
「ねぇねぇ、ヒイラギって何歳?」
「今十六で、今年で十七だ」
「じゃあクレハ以外とは同じ年齢だね」
「私はユリと申します。以後お見知りおきを」
「ああ。…で、あそこにいる奴は?」
「トウさんです。あの人は無口なので」
この中にひねくれ者はいないため、ヒイラギは早くも意気投合していた。
最初は馴染めるかどうか心配していたヒイラギだが、今はとっても楽しそうだ。
「うんうん!百花繚乱はやっぱり仲良しで賑やかなのがいいよね!」
見ているこっちも嬉しくなって呟く。
「飲み物が尽きてしまいましたね。持ってきます」
「あ、オレも手伝うよユリ」
「ついでに料理も継ぎ足してきたほうがいいよね?ツバキ」
「そうね。じゃあよろしく」
キッチンへと向かっていったユリ、クレハ、ナツメ。
その後ろ姿を見送っていると、
「な…なぁ、ツバキ」
ヒイラギが話しかけた。
「ん、なに?」
そう聞くと、ヒイラギは「そ、その…」と口ごもって俯いた。
その顔が少し赤く染まったように見えるけど、気のせいかな?
そう疑問に思っていると、ヒイラギはガバッと顔を上げた。
「お、俺、ツバキのことが——ぐえっ!?」
次の瞬間、トウがヒイラギの脇腹に肘鉄を食らわせていた。
「痛ってぇ!いきなり何すんだよ!」
「…悪い、手が滑った」
「はぁ!?絶対嘘だろ、わざとだろ!」
「う、嘘じゃない」
「嘘だ!手が滑って肘鉄なんてあるか!」
「だ、だから嘘じゃないと言ってるだろ!」
言い争いを始めたトウとヒイラギ。
そんな二人を、私はぽかんとしながら見ていたが、やがて笑いが込み上げてきた。
「はははっ、もー二人とも仲がいいね!いきなりケンカなんて!」
ヒイラギが何て言おうとしたのか気になるけど、今はただこう思うのだった。
——これからはもっと賑やかなギルドになりそうだなぁ。