コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔法使いの青春理論 ( No.36 )
- 日時: 2014/03/10 19:13
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: oq1piOCI)
11.風月の鳥 前半
とある日の昼下がり、私はあることに気付きソファから立ち上がった。
「そうだ!」
その場にいた四人が私を見る。
「あいつらにクレハたちのこと紹介しなくちゃ!」
…てなワケで、私たちは"あいつら"のもとへ来ていた。
うちより小さめの建物に飾ってある看板を見て、ナツメが呟く。
「えっと…ギルド『風月の鳥』?花鳥風月をもとにしているのかな?」
「そうみたい。早速突入よ」
私はそのギルド『風月の鳥』のドアを開けた。
「こんにちはー、ツバキだけどー」
すると間もなく室内から少女が現れた。
あれはサクラ—桜—だ。
「ツバキちゃん!ユリちゃん!」
サクラはふわふわした茶髪を揺らしながら駆けてくる。
…いや、揺れているのは髪だけじゃない。
むしろ胸のほうに目がいってしまう。
「その巨乳…少し分けてほしいわ…」
誰ともなく呟くと、
「バッキーいいいいいい!ゆりっぺええええええ!!」
賑やかな声を上げて、サクラの後ろから少女が走ってきた。
目にも鮮やかな金髪ショートヘアの彼女はモモ—桃—だ。
ちなみに、バッキーとは私を、ゆりっぺとはユリのことを指す。
サクラを追い抜かしたモモはドドドドと全速力で迫り、
そのまま私にドーンと抱きついた。
「どぎゃあ!」
「バッキーもゆりっぺも久し振り〜!」
モモの身体が私に密着している。
しかし、モモはサクラとは正反対に、胸は…その…つるぺた…
「バッキー…今、貧乳だなーって思ってるわよね!?」
「うぇ!?お、思ってないよ!?ってぎゃあああ胸触んないでえええ!」
と、モモに胸を鷲掴みされながら叫んでいると、
「あいてっ!」
不意に小石がモモの頭にコツンと当たった。
胸から手が放されると同時に、鈴の音のような声が。
「こんにちは、ユリ、ツバキ」
現れたのは、銀髪サラサラストロングの少女、スズラン—鈴蘭—だ。
「こんにちは、スズランさん」
「スズランありがとおおお…」
痛いよスズ!とモモが喚いていると、
「ようツバキ。それにユリも。何か用か?…って、そいつらは?」
特徴のない黒髪に黒目の青年、アオバ—青葉—がやって来た。
これで『風月の鳥』のメンバー全員が揃った。
早速説明を始める。
「この三人は、百花繚乱の新しいメンバーよ。左からクレハ、ナツメ、トウ。
で、こっちの四人は…」
「ええええっ!おっ、男のギルメンなのかよ!頼む、こっちに分けてく——ぎゃん!」
説明しようとした私を遮って騒ぎ出したアオバの脇腹に、
スズランが肘鉄を喰らわせた。
「よろしくお願いします!私はサクラ、風の魔法使いです!」
「アタシは魔法武器使いのモモ!」
「スズラン。音の魔法使い」
今までぽかーんとしていたクレハたちは、はっと我に帰り
「こ、こちらこそ」と頭を下げていた。
「…で、このヘタレ野郎は、ギルドリーダーのアオバ。
ここのギルドでただ一人の男子よ。
私と同じ光の魔法使いで、私の従兄でもあるの」
そう、このヘタレでラッキースケベなハーレム王は、認めたくないけど
私の一歳年上の従兄なのだ。
「い、従兄!?」
「おう!今まで周りに男子がいなくてめっちゃ心細かったんだ!」
アオバはクレハたちの手をがしっと掴み、ぶんぶん振った。
「続きは中で話しましょう。どうぞ上がってください!」
「アオバお茶淹れてきてー」
「な、なんでリーダーの俺が!?」
「ふーん?昨日のことバッキーたちに教えちゃおっかなー?」
「うわあああ!分かった淹れてくるから!」
相変わらず賑やかなギルドだ。
でも、アオバにも少女たちにも、簡単には話せない大きな秘密があるのだ。