コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 魔法使いの青春理論【只今短編】 ( No.48 )
- 日時: 2014/03/14 22:58
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: B6N9vk9k)
13.同居のお約束
この前『風月の鳥』を訪れたとき、クレハたちと同居していると
知ったサクラがこう言った。
『ツバキちゃん、たとえ信頼している仲間でも、男性と同居しているのだから
少し気を付けたほうがいいよ?』
よく晴れた午後、私は庭園の花に水をやりながら、そのことを思い出していた。
(確かにそうだけど、あの三人は変なことはしないだろうなー)
実際、同居を始めて一ヶ月を過ぎた今でも、そんな事件は起こってない。
それに三人とも、その…は、破廉恥な人でもなさそうだ。
…と、その時、不意にホースから水が出なくなった。
「あれ?」
ホースの口から中を覗いてみるが、何かがつまっているわけでもない。
「おっかしいなぁ…ん?」
ふと足に目を向け、私は確証した。
私がホースを踏みつけていたのだ。
何だか恥ずかしさを覚え、私は足を離して独り言を口にした。
「私が踏んでいたのかぁ〜!いやーまさか気付かないとは!あははは…」
言いながら、気付いた。
自分の顔にホースを向けたままだということに。
「ぎゃああああああああああ!!」
私の悲鳴は、水がブシャアアアアアと噴射する音と被さった。
惨めなびしょ濡れ姿を見られたくなかったので、
私は飛行魔法を使い、庭から自室のバルコニーへ移動した。
「うぅ…とりあえず着替えよ…」
スカートは濡れなかったので上だけ脱ぐ。
「うわぁ下着まで濡れてる…!っと、着替え着替え…」
と、下着の入った戸棚へ向かおうとした、その時だった。
軽いノックの音。
続けて、部屋のドアが開かれた。
「ツバキ、ちょっと用事が——」
書類を持って現れたナツメ。
上半身は下着しか身に付けていない私。
互いに硬直した。
「うわあああああああああああああ!?」
「きゃああああああああああああっ!!」
そして互いに絶叫しましたとさ。
「ごっごごごごめん!本っっっ当にごめん!!ごめんなさい!!」
「だ、大丈夫だよ!ナツメは何も悪くないよ!!うん!!」
謝りまくるナツメに必死にフォローしながら、私は心の中で呟いた。
サクラ、気を付けるのはこの"偶然"のことだったんだね…。