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- Re: 魔法使いの青春理論【ひたすらバトル】 ( No.88 )
- 日時: 2014/04/10 22:56
- 名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: FMSqraAH)
29.
しばらくの浮遊感の後、固い床に着地した。
「ここは…?」
落ちた先は、床も壁も全て大理石でできた広い部屋だった。そして——
「ヨウコソ、地下一階の戦場へ」
俺たちの前には、まるで待ち構えていたかのように、三人の人間がいた。
スーツの男とメイド、そして今しゃべった女の三人だ。
女が続けて言う。
「これからこの屋敷で最も強い二人の魔法使いとバトルしてもらいマス。
ワタクシは審判、男性のほうは旦那様の運転手で光の魔法使い、
女性のほうはメイド長で水の魔法使いデス。
あなた方が負けた暁には、ここよりもさらに下の部屋にいる
"彼ら"の仲間になってもらいマース。
それでは準備はよろしいデスカー?」
どうやら、この二人と強制的にバトルをしろ、ということらしい。
厄介なことになったものだ。だが…
「こいつらを倒さなきゃ先に進めないってことだな?」
クレハが好戦的に笑った。
「そういうことらしいな」
「んじゃ、メイド長はトウに任せた。水相手じゃオレだと手も足も出ない」
「了解、運転手は頼んだ」
俺たちが会話をやめて敵と対峙すると、審判が手を挙げた。
「では、スタートッ!」
俺はすぐに剣を召喚し、メイド長に斬りかかった。
しかしメイド長は数メートル先に水の膜を出現させ、俺はそれに弾かれた。
何度か斬りかかるも、そのたびに水の膜に阻まれ、メイド長に近付けない。
「至近戦は無理か…」
そう考えた俺は、剣を戻すと連射銃を召喚した。
引き金に指をかけ、銃弾を放つ。続けて何発も。
すると、メイド長は数発をよけた後、水の塊を出した。
その中に取り込まれた弾丸は、水中をノロノロと進んだあと、完全に止まった。
「手強いな…」
発砲をやめるとメイド長は水の塊を解き、銃弾がバラバラと床に落ちた。
それを見て、俺は閃いた。
(この作戦なら…)
俺は再び銃を構え、銃弾を放つ。
メイド長は先程と同じく水の塊を出し、防御する。
やがて引き金から手を離すと…
彼女も水の塊を消した。
俺が狙っていたのは、まさにこの瞬間。
「サンダーエッジ!」
唱えると共に召喚した、電気を帯びたナイフを、メイド長に放った。
それはメイド長がバリアを張る直前、彼女の手の甲を切り裂いた。
メイド長を、ナイフの電撃が襲う。
(よし——)
さらに攻撃しようと剣を召喚しようとして、
突如、背中に衝撃が走った。
「な…!?」
驚愕しながら後ろを振り向く。
目に飛び込んできたのは、俺に光のビームを放っている運転手の姿だった。