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Re: 魔法使いの青春理論【ひたすらバトル】 ( No.92 )
日時: 2014/04/13 09:41
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: zHdJFj8Z)

  31,


 私—ユリ—は、屋敷をくまなく捜索していた。

 大広間にいた使用人たちに追われずに済んだものの、
 メンバーとは離れてしまったため単独行動だ。

 それにしても…妙だ。

 今までずっと廊下の真ん中を走っているのに、誰ともすれ違ってない。
 しかも、一つ一つの部屋のドアを開けて中を確認しているのに、誰もいない。
 普通なら侵入者確保のために屋敷内を巡回するべきなのに…。
 そんな疑問を抱きつつも、悪事の証拠を探す。

 地下が怪しそう、と思いついた私は、最深階である地下三階へ降りた。

 部屋はなく、奥へとつながる廊下があるだけだ。
 薄暗い廊下を慎重に進む。

 しかし進んでも部屋はなく、最果てに辿り着く。
 するとそこには「立入禁止」と書かれたドアがあった。
 そのドアは頑丈な鉄でできていて、やはり鍵がかかっていた。

(この先に何かありそう…)
 そう思った私は、武力魔法でドアを壊すことにした。

「はあっ!」
 ドバン、と拳一つでドアは壊せてしまった。案外脆いなぁ。

 壊れたドアから中へ入って進む。
 すると、進んだ先にまたドアがあった。
 今度は蹴って壊す。

 するとまたドアがあり、壊して、進んで、やっぱりまたドアが…。
 その繰り返しに溜め息をつきながら、五つ目のドアを破る。
 すると、急に視界が明るくなった。

 やれやれ、ようやくゴール…
 と一息つこうとした私は、ドアの向こうの光景に衝撃を受けた。

 そこは、壁が強化ガラスで出来ていて、電気がついていた。
 そこまで聞けば普通の部屋なのだが…


 ガラスの向こうの空間に、生気のない人間が二十人ほどいたのだ。


「な…っ!」
 震える足で部屋に入り、ガラスに近付く。

 ガラスの向こうの人間は、老若男女問わず様々だ。
 そして全員、粗末なガウンを着ている。

 …そう、まるで何かの実験の被験体のような…。

 ——と、その時だった。
 突如、足元が発光した。

 驚いて足元に目をやると、そこには魔法陣が発生していて、
 私の身体を包もうとしていた。

 これは…移動用の魔法陣だ。
 私は何処かへ転送された。