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Re: 放課後1時間目01 唯一の友達 ( No.1 )
日時: 2014/03/01 02:29
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

1969年、日本の関東地方のとある都市部に
アミティエ大学という大きな大学があった。
アミティエというのは、フランス語で友情という意味だ。

この大学には工業部、医学部、服飾部、芸術部、調理部、
国際部、法学部の六つの学部が存在しており、
東洋一の大きさを誇る大学だった。

「おい、起きろ」
工業部の二年生の教室で教鞭を振るっている中年の男が
一番前の席で眠っていた生徒の頭を教科書で叩く。
「うぅ……」
生徒がゆっくりと目を覚ます。
「お目覚めか? お坊っちゃん」
工業部の教授である笹本昌弘、40歳(CV:藤原啓治さん)が
生徒の顔を覗き込む。
「ふぇぇ、おっさん酒くせーよ……」
この学校の工業部二年生の長谷部壮吉、20歳(CV:内山昂輝さん)が寝ぼけた声で呟く。
「なーにがふぇぇ、だよ
お前もういい年だろ
それにおっさんって呼ぶんじゃねぇ」
昌弘が銀色のウイスキーボトルを呷りながら
会話を続ける。

発明家という大きな夢を抱いている壮吉は
ここでものづくりの勉強をしているのだった。
しかし、肝心の担任である昌弘は
授業中に酒を飲み、ギャンブルのことばかり考え、
おまけにスケベ親父というどうしようもない男だった。

「よーし壮吉、お前あの問題解いてみろ」
昌弘が黒板を指差す。
黒板には、「電球を発明した人物」と書かれてあった。
「えーっと」
壮吉が答えられずにいると、昌弘が突然口の中のウイスキーで
壮吉の顔に毒霧を噴射した。
「ぐわーっ、目が痛いよぉ」
壮吉が顔を抑えて悶え苦しむ。
「何しに来てんだおめーは」
呆れながら昌弘が呟く。
実は壮吉はあまり頭がよくなかった。

すると、終礼のチャイムが教室に鳴り響く。
「仕方ねぇ、今日はここまでだ
全員、気をつけて帰れよ」
昌弘が生徒たちに手を振る。

壮吉が大学内の廊下を一人で急ぎ足で歩く。
周りの生徒達は皆友人や恋人達と
歩いている。
「ケッ、何がアミティエだよ……」
そんなことを呟きながら、壮吉は歩く。
実は壮吉は仲のいい友達がいなかったのだ。
いいや、そんなことは無かったのだ。

大学の外に出て壮吉は
裏にある駐車場まで急ぎ足で歩いていた。
駐車場には、アストンマーチン・DBS(イギリスの高級スポーツカー)が停まっていた。
壮吉が車の助手席のドアを開ける。
「遅かったじゃないか」
運転席の男が壮吉に話しかける。
「ごめん、ポテトチップ買ってた
相変わらず購買は混んでやがる」
壮吉が説明しながら車に乗り込んだ。