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Re: 放課後友人倶楽部 ( No.3 )
日時: 2014/03/05 00:33
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

ワルシャワの引き戸を開いて、壮吉が
店の中に入っていった。
「おかえり」
店の厨房で一人で店を経営する
砂子誠一、38歳(CV:小山力也さん)が
壮吉を出迎える。
「ただいま」

ワルシャワは三階建てになっており、一階が店舗、
二階が誠一の自宅、三階は貸し部屋になっていたのを
壮吉が借りて住んでいるのだった。

ワルシャワは夜はお食事処ではなく居酒屋として経営されている。
「あいよ、枝豆お待ち」
誠一がお客に枝豆を差し出す横で壮吉は
皿洗いをしていた。
壮吉はたまにこの店で店の手伝いをする代わりに、
食事を提供させてもらったり、家賃を安くしてもらっている。
「あの、おやっさん……」
壮吉が焼き鳥を焼く誠一に話しかける。
「なんだ、またオレのノーヒットノーランの話が
聞きたいのか?」
「いいや、違うんですけど……」

実は誠一は五年前までプロ野球選手だった。
パ・リーグに所属している東京タイタンズで
ピッチャーとして活躍しており、
1959年にはノーヒットノーランを、
1960年には完全試合を達成させている。
その後、1964年に肩を故障して引退、
ここで居酒屋を経営しているのだった。
店にはいたるところに現役時代の勇姿や
受賞した賞が飾られている。

「実はオレ、今新しい部活に入りたいと思っていて……」
壮吉が神妙そうに呟く。
「でもオレって人見知りとかするし……
大丈夫だと思いますか?」
「なんだよ、そんなことで心配してたのか?
男らしくねぇな、そんなの大丈夫だって」
誠一はぽんと壮吉の肩を叩いた。
「オレは人生なんて全てうまくいくなんて思ったことはないんだ、
人生にはいろんな苦労や困難が立ちふさがる、
でも仲間がいてくれりゃそんなの屁でもないさ」
「そうですよね」
壮吉は少しほっとした表情を見せた。

翌朝、ワルシャワの前で壮吉が立っていると、
脇にランボルギーニ・ミウラ(イタリア製の超高級
スーパーカー)が停まり、ドアが開く。
運転席にいるのは幸雄だった。

「なぁ、オレとの友情をお前はこれからも
続けてくれるよな?」
壮吉が幸雄に話しかけた。
「お前はかつてオレに友情を育みたいって
話しかけたよな、今度はオレが
お前に頼む番だ」
「頼むって、何のことだ」
「放課後友人倶楽部に入れさせてくれないか?」
壮吉が頭を下げた。
「その頭を上げな」
幸雄が言い放つ。
「入部届けは大学の受付からもらってくれ、
部室は北校舎の三階だ、遅れるなよ」
「本当か、ありがとう」
こうして、壮吉は入部を認められてもらった。