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Re: 放課後3時間目 パベルの仮面 ( No.8 )
日時: 2014/03/09 12:36
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

「なぁ幸雄、この百物語ってのは
どんな番組かな?」
壮吉が新聞の番組表を指差した。
「簡単だよ、あの青春怪異ドラマの
新作だろ?」
幸雄が答える。
「違うよ、怖い話をする番組のことでしょ、
生沢君、きちんとしなさい」
絹恵が幸雄にツッコむ。
「へぇ、面白そうじゃん
見てみようよ、もう始まるでしょ?」
千恵子がテレビのスイッチを入れる。

「その後、彼らの姿を見たものは
誰ひとりいなかったそうです」
テレビで、語り手のタレントが百話目を話し、
最後のろうそくを消した途端、番組は終了した。
「なんだ、全然怖くなかったじゃん
そうだよな、幸雄」
壮吉が少し震えながら幸雄に話しかける。
冷蔵庫から取り出していたファンタオレンジの瓶を持っていた
幸雄も答える。
「何言ってんだ、お前随分身震いしてたじゃねぇか」
そう言う壮吉が手に持っているファンタが
少し揺れていた。
「情けねぇなお前らは」
健二が二人をあざ笑った。
「健二君、何を布団に包まりながら言っているの?
そんな布団、ここには元々無かったでしょ?」
絹恵が怪しんでいる。

「私は結構怖かったけどね、
あれ、キャロルはそうでもなかったの?」
千恵子がキャロルを見つめた。
確かに、キャロルは番組中もずっと怯えた様子を
見せていなかった。
「うん、平気だったよ
私は霊界にもコネクションがあるから
こんな話は慣れっこなんだよ」
キャロルが笑顔で答えた。
「そ、そうなんだ……
さすがは魔法少女、もう何も怖くないんだね」
千恵子が笑う。

すると、昌弘がゴールデンバット(日本のブランドのタバコ、
芥川龍之介や太宰治も愛用していた)を吸いながら
呟いた。
「まったく、お前らはどうしようもない腰抜けだな、
そんなんじゃオレの話ではショック死するんじゃないか?」
「えっ、おっさんも怖い話を知ってるの?」
壮吉が食いついた。
「まぁな、このアミティエ大学七不思議の中でも
とびっきり怖い話があるんだ」
「へぇ、ちょっと聞かせてよ」
キャロルが興味津々に尋ねる。
「いいぜ、お前らはパベルって奴を
知っているか?」
昌弘が真剣な表情をして話を始めた。
「いや、知らないな」
幸雄が答えた。
昌弘が語り始めた。
「実はな、今から十年前にこの学校に
パベルっていうソ連人の教授がやってきたんだよ
年齢は当時30歳、ソ連科学アカデミー
(当時ソ連に存在した最高科学機関)でもトップの成績だった
インテリだったんだ、
この話の主人公はそいつさ」