コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 放課後友人倶楽部 ( No.11 )
- 日時: 2014/03/10 00:31
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)
「あれはオレがこの学校に尋ねてきたときのことだ、
初めて来る日本はオレにとって何もかもが分からなかったんだ、
すると、一人の日本人の女がオレに優しくしてくれた、
彼女の名前は美智子、この大学の生徒だった」
パベルが語り始める。
「彼女はオレに美味いレストランを紹介してくれたり、
日本語を教えてくれたりと、オレに親身になってくれた
オレは彼女を溺愛していた」
「彼女があなたの未練なの?」
キャロルが尋ねる。
「まあな、でもあの事件がオレの人生を変えた
オレはある晩、彼女とともにレストランに行こうと思い
裏通りを歩いていたんだ、
すると突然数人の男たちが彼女を囲んで、ちょっかいをかけてきた
彼女が拒んだ途端、彼女は男に殴られた
オレはもちろん男を殴ろうとしたが、その途端に
後頭部を殴られて気を失ってしまった、
そして目覚めると、彼女は傷だらけで路上で泣いていた」
パベルが寂しげに続ける。
「その後、彼女は再び学校に通うことになったんだが
オレは彼女に顔を合わせることが出来なかった、
だからガスマスクで顔を隠すようになったんだ」
「ほらな、オレが犯人じゃないだろ?」
健二が勝ち誇った表情で壮吉たちに言い放つ。
「その後、彼女は病に侵されて寝たきりになってしまった、
これはきっとオレの責任だ、その責任を取って
オレは首を吊った、これがオレの未練さ」
「彼女はどこの家にいるか知ってる?」
絹恵が尋ねる。
「あぁ、知っているけど……」
パベルが呟くと、絹恵は答えた。
「彼女はあなたを責めてないはず、会って話を聞いてみたら?」
数分後、壮吉たちは彼女の家の前にいた。
「よし、思いを伝えてくるがいい」
さおりがパベルの肩を叩こうとすると、
すり抜けて転びそうになった。
パベルが彼女の部屋へと向かっていった。
部屋のベッドには美しい女が本を読んでいた。
「かわいいなぁ」
千恵子が呟いた。
壮吉たちは部屋の窓から様子を覗いていた。
彼女の枕元にパベルが立った。
「ひさしぶりだな、美智子」
「あなたは、パベルなの?」
彼女が驚いた表情を見せる。
「あぁそうさ、オレのせいでお前はこんな
不憫な思いを続けているんだろ、
その償いをしにあの世から来たんだ」
そう言うと、彼女は口を開いた。
「違う、あなたのせいじゃない
だからあなたは自分を責めることは無いわ」
「オレを許してくれるのか?」
すると、パベルの体が少しずつ透明になっていった。
「未練が消えて、成仏しそうになっているんだ」
キャロルが解説した。
「もう時間だ、お前には二度と会えないようだけど、
オレは一生お前を忘れない、それだけは忘れるな」
「お願い、最後にもう一度その顔を見せて」
彼女の願いを聞き入れたパベルがガスマスクを脱いだ。
その素顔はとても端整だった。
「かっこいい……」
さおりが呟いた。
「お前のおかげで楽しかったよ、
ありがとう」
パベルは彼女の体を抱きしめながら、消えていった。
「よかったね、これで彼も自由さ」
幸雄が呟いた。
翌日から、パベルの姿は現れなくなった。
「パベルは実在したということか?」
学長室で学長がさおりの前で驚いている。
「そうか、そんな悲しい話だったとは……」
さおりの話を聞いたらしく、少し悲しい表情を見せた。
そしてすぐに、学長は口を開いた。
「そういえば式場君、今夜は暇かね?」
「はい、何でしょう?」
学長が口を開いた。
「今度は医学室にある人体模型が夜ごと動き回るらしいんだが……」