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Re: 放課後4時間目 フレンチ・ハッスル ( No.12 )
日時: 2014/03/10 15:06
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

アミティエ大学の学長室には
一枚の絵画が飾られている。
学長はいつもその絵を大切そうにしており、
たとえ誰であろうと触れるのを許していなかった。

ある日、さおりはこんな質問をしてみた。
「学長、いつもその絵画を大切そうにしておりますが
その絵はどのような価値があるのですか?」
学長がコーヒーを飲みながら答える。
「これは私の父にして以前の学長が残してくれたんだ、
聞いて驚くなよ、この絵の価値は5000万円だよ」
「うわぁ! それはすごいですね」
さおりが驚く。

同じ頃、大学の南校舎の三階の空き教室に
「ブーヴェの探偵事務所」なる張り紙がされていた。
ここは国際部三年生のフランス出身の
カミーユ・ブーヴェ(CV:斎藤千和さん)が
たった一人で運営していた。
カミーユの父親は探偵学校の学長であり、
カミーユも洞察力や推理力など様々なスキルに
長けている人物だった。

その日、探偵事務所にはキャロルが訪れていた。
「私のペットであるティムを探して欲しいんです、
三日前からいなくなっちゃって……」
ティムはキャロルが飼っているブルテリアだ。
キャロルが写真を差し出す。
「かわいらしい子ね、必ず探し出して見せるから
安心して」
カミーユが写真を受け取る。
カミーユは生徒や教授のペット探しや素行調査などを
千円で請け負っており、その正確な仕事率は
評判だった。
「ありがとうございます」
キャロルが頭を下げた。

すると突然、さおりが事務所に乱入して来た。
「大変だ、少し来てくれないか?」
さおりはカミーユの手を握ると
事務所から連れ出してしまった。
「あぁ、ちょっと!」
キャロルが止めようとしたが、さおりは
走り去ってしまった。

学長室にさおりとカミーユが通される。
「やぁ、君がカミーユ・ブーヴェだね
噂は聞いている」
学長が応接室にカミーユを座らせる。
「紅茶でもどうかね?」
学長が紅茶を差し出す。
「ありがとうございます」
カミーユが頭を下げる。
「ところで、君を呼んだのは他でもないんだ
これを見て欲しい」
学長が一枚の紙切れをカミーユに見せる。
そこにはこう記されていた。
「本日午後4時、学長室の絵画を
いただきに参上する」

「これがたった今届いたんだ、
差出人は不明だ、きっと誰かのイタズラだろうけど
心配になってな」
学長が呟く。
「そこで、君にこの絵画を守って欲しいんだ」
学長がカミーユに尋ねた。
「待ってくださいよ、そんなことなら
私一人でもできるはずです」
さおりが学長に直談判する。
「君にはこの仕事は難しそうだからね」
学長の答えは無慈悲なものだった。