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Re: 放課後4時間目 フレンチ・ハッスル ( No.15 )
日時: 2014/03/10 23:19
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

「あれっ、絵画ならカミーユが持っているはずだが……」
学長が驚いた表情を見せる。
確かに、もう一枚の絵画はカミーユが
持っていたからだ。
「おそらく、学長がいなくなるのを待って
取りに来ようと思っていたんだよね、カミーユさん?」
キャロルがニッと笑顔を見せる。
「バカを言うのはやめにしてもらえないかしら?」
カミーユが壮吉たちをにらむ。
「この絵を貸してもらえないかしら?」
絹恵がカミーユから絵画を奪う。

絵画を見つめたキャロルが答えた。
「これはあなたが用意した贋作でしょ?」
キャロルがカミーユに尋ねた。
「何を根拠に?」
カミーユが白を切る。
「この絵の右隅にある作者のサインが少し本物と比べて
違うんじゃないですか?」
カミーユが学長にサインを見せる。
「本当だ、こんなに筆圧が強くなかったぞ」
いつも絵画を見ている学長にとって
サインの見分け方なんて簡単だった。

「そしてあの時計だけど、今は5時をさしていますね?」
壮吉が時計を指差した。
すると、絹恵が部室から借りてきたラジオのスイッチを入れた。
ラジオから、こんなニュースが聞こえた。
「只今より、4時のニュースをお知らせします」
絹恵が呟いた。
「おかしいなぁ、犯行時刻は4時だったと思うんだけど?」
カミーユの顔から冷や汗が見えた。

「つまりトリックはこういうことだ、
私達を眠らせた後でお前は私の靴をはいて
自分の車のトランクに贋作を入れた、
私に罪を着せるために、
そして私が罪をかぶっている間に部屋から絵画を盗もうと
していただろ?」
さおりが学長室に入ってきた。
「私を犯行現場から遠ざけるために足音を収録したマイクを
廊下の数箇所に仕掛けていただろ?」
さおりがポケットから小型マイクを取り出して再生する。
あの足音が聞こえた。
「あぁそうよ、私が絵画を盗んだのよ」
カミーユが力なく崩れ落ちた。
外からはパトカーのサイレンが聞こえてきた。

翌日、新聞を読む学長がさおりに話しかける。
「実はあのカミーユの家からは去年盗まれた
三億円やマルセルの絵画が出てきたそうだ、
彼女がインターポールの警部の娘というのも
噓だったそうだ」
さおりが得意げに答える。
「私の実力、分かりましたか?」
「疑って悪かったよ、これからも私の右腕として
働いてくれるかい?」
「もちろん!」
さおりは即答した。

一方、新聞の隅には壮吉たちの写真が
小さく掲載されていた。
今回の活躍により警察に表彰されたからだ。
壮吉はこんなコメントを残している。
「真実は、いつも一つ」と。