コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 放課後5時間目 エレクトロニック・ロジャー ( No.17 )
- 日時: 2014/03/11 22:49
- 名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)
誠一がさらに続ける。
「おじさんは毎週この番組を見るために
頑張っているのになぁ……」
さらに、さおりがあんみつを食べながら
健二に言い放つ。
「私だってロジャーの影響で
正義に目覚めたんだぞ」
これらを聞いた健二は力なく店を出て行った。
「もういいや……」
壮吉たちが食い入るように見ていたのは
現在、世界中で人気を博している
アメリカのヒーロードラマである
「エレクトロニック・ロジャー」という番組だった。
デトロイト出身の大学生のロジャーはある日、
ヒーローだった父からその使命を受け継ぎ、
世界平和の為に悪と戦い続けているというストーリーだ。
一週間後、壮吉と幸雄がいつものように学校に行くと、
国際部の教室が人だかりで溢れていた。
その中に絹恵の姿を見つけた壮吉は尋ねた。
「ねぇ、この人だかりはどうしたの?」
「あれ見てよ」
絹恵が指差した先には、あのロジャーそっくりの学生が
教室にいたからだ。
「ロジャーだ!」
幸雄が驚きの声を上げると、学生に走り寄った。
「エレクトロニック・ロジャーだよね?」
学生が答える。
「ロジャー? そんな奴知らねーよ
オレはデイモンっていうんだ」
デイモン(CV:岡本信彦さん)という名前を聞いた幸雄は
少しがっかりした。
「そうか……」
その様子を見ていた壮吉は一つの仮説を立てていた。
あいつは本物のロジャーではないのかと。
その日の夜、壮吉はワルシャワの三階で必死に縫い物をしていた。
「よし、完成したぞ」
壮吉が作っているのはロジャーのあのスーツだった。
マントやマスクまでも再現する、力作だった。
「どうです? ロジャー参上!」
壮吉は早速誠一に見せてみた。
「なんか、お前痛いな」
誠一はそう答えた。
その日の夜中、壮吉はロジャーのコスプレで
公園を歩いていた。
すると、一人の女性がチンピラに絡まれていた。
「その手を離せ!」
壮吉が酔っ払いに怒鳴る。
「うるせぇぞクソガキ!」
壮吉が顔を殴られた。
壮吉はロジャーのようには強くは無かった。
「ひぃぃ、助けて」
壮吉はチンピラから必死に逃げていた。
すると、一人の男ガチンピラに
ドロップキックをかました。
チンピラが倒れこむ。
男の正体はデイモンだった。
「大丈夫か?」
デイモンが壮吉に手を貸した。
「あ、ありがとう」
壮吉とデイモンは公園のベンチに座って
コーラを飲んでいた。
「全く、ロジャーのコスプレか?
弱いくせにこんなことするなよ」
デイモンが壮吉を注意した。
「すまねぇ、でもオレロジャーみたいな
強い男になりたくて……」
壮吉がうなだれた。
すると、デイモンは壮吉の肩を叩いた。
「まぁロジャーがカッコいいってのは
オレも思うさ、気をつけて帰れよ」
そう言うと、デイモンは帰っていった。