コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 舞えし蝶は暗闇に散る・゜・。・゜゜・* ( No.28 )
- 日時: 2014/03/28 12:37
- 名前: 珠紀 (ID: YLB79TML)
「なあ、お前本当に男かあ?女みてえな顔してんなあ」
開場に向かっている途中でガラの悪い声に足を止める。
数人の男が1人の少年を取り囲んでいる。
少年はずっと俯いていて反論しようとしていない。
「でもよ兄貴〜。こいつだったら1回相手してやっても大丈夫ですぜ」
下っ端のような奴が大男に言い張る。
「な……ッッちょっとッッ」
少年の身に危険を感じ慌てて少年の前に割り込む。
「あん?なんだこの女。こいつの女か?」
思ったよりでかかった大男を思いっきり睨みつける。
「おーおー!威勢がいいねえ、お譲ちゃん」
「じゃあ、お譲ちゃんがお兄さんたちの相手をしてくれるのかなあ?」
口から吐かれるなんとも言えない臭いに吐き気がする。
「いッッや………」
手を掴まれてゾワッと背筋が凍った。
「…………………ハァ」
後ろから呆れたような溜め息がつかれたと思うと、肩を掴まれ少年の後ろに引かれる。
「……女の子に手を出すなんて、最低ですよ。…お、じ、さ、ん」
想像より低い声に驚いた。
こう、後ろに立ってみるとわたしより背も高いし身体つきもでかい。
同い年の男の子だろうか。
「言ってくれるじゃねえか、坊ちゃんよお」
「………」
……少年はニッと口角をあげた。
一瞬だった。
男たちが全員倒れている。
少年は1ミリたりとも動いていなかった。
「え……」
「大丈夫?えっと……姫百合……………姫百合さん?」
「なんで、わたしの名前」
「さて、何でだろうね」
謎な少年………
「あなたは…」
「ああ、名乗ってなかったね。僕は篠」
「篠……珍しい名前ですね」
シノはにっこり笑って首を横に傾けた。
……本当に綺麗な人。
「姫百合さん、僕には敬語使わないで。僕、年上の人に敬語使われるの嫌なんだ」
「あ、うん」
わたしより年下ってことは16か15といったところだろうか。
「姫百合さんはこれからどこに向かおうとしていたの?」
「あ!そうだった…わたし急ぐから、シノ君気をつけてね!」
まだ間に合うよね。
わたしはシノ君に背中を向けてまた走りだした。
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「護衛かい?空火」
「気づいていたか」
2人…悲しい瞳を互いに見つめる。
「僕で最後?」
「いや、あと1人」
「ああ………“暁”」
「あいつは……… 」
風で声が遮られる。
「そうだね…」
ひめゆりの駆けていった方向を見つめ、2人の姿は消えた——…