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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 1 ( No.1 )
- 日時: 2014/03/23 20:12
- 名前: やなぎ鼡 ◆QaxVaYDlIE (ID: qNIh9ax1)
冬の時季は日の入り時刻が早い。随分と前に陽は沈み辺りは真っ暗。月明かりだけが闇夜を照らしている。
私宍野 麻帆(ししの まほ)は塾が終わり、帰路に就いていた。普段通り山吹公園の前を通り過ぎようとすると、公園のブランコの下に一つの段ボール箱が置いてあった。
捨て猫かな? と思い、私は進行方向を公園へと変更し、ブランコに近付いていった。
「くぅ〜ん」
段ボール箱の傍に着いた時、くぅ〜んとか細い寂しそうな鳴き声が聞こえた。中を見ると、そこには小さな犬らしき動物が一匹入っていた。中には毛布すらも入っておらず、動物は寒そうに震えている。
私はその動物を段ボール箱から抱き上げ出して、右手で摩る様に抱え込む。
何の種類だろう? シベリアンハスキーかな? 子犬だが、顔立ちはキリッとしていてカッコイイと思った。
暫くすると、動物の震えが治まった。良かった。しかし、この動物を持ち帰ろうにも持ち帰られない。何故なら私の母親が動物アレルギーだから。前にも捨て猫を持ち帰り、飼いたいと言ったところ、断固拒否をされた事がつい一週間前にあったばかり。
「ごめんね」
私はそう動物に謝り、段ボール箱に戻した。このままでは先程と同じで寒いので、私は自分が首に巻いているマフラーも段ボール箱の中に入れた。
「ごめんね、また明日来るからね」
動物を一撫でし、私は自宅へと帰って行った。
「くぅ〜ん」
動物の寂しそうな鳴き声は私には聞こえなかった。
そんな出来事があったのは小六の夜。
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