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Re: くろウサギ ( No.13 )
日時: 2014/04/02 21:52
名前: 暁 (ID: z5Z4HjE0)

「うん、大丈夫だね。……君は?」
 目線を金網越しの目の前にいる白兎達から外し、奥を見る。影で見づらかったがうっすらとわかった。真っ黒な兎。
 一羽だけ隅に隠れるようにしてうずくまってる『君』、発見。白兎達と同様にこちらに細長い耳を傾けるが、三秒ほどで他の方角に向く。信頼しているのか、興味がないのか。さっぱりわからない。なぜかブラウンの目は遠い空を見つめている。
「大丈夫そうだね。そろそろ時間だから行かなきゃ」
 独り言のように呟きながら立ち上がり昇降口に向かう。角を曲がると目の前に影が出てきた。
「きゃっ」
「わっ」
 体に衝撃がくる。反動で倒れそうだったが、誰かに抱きしめるように支えられた。
「大丈夫?」
 男子の声だがそんなに低くなくどっちかというと高くて、だけど少し大人びた声。体はガッシリしていて背は紗雪が頭もう一個分ぐらいの高さ。
「すみません。あ、ありがとうございます……」
 あまり男の人は得意ではなかったので、このような状態でも混乱してしまう。でもお礼はしっかり果たした。
「ごめん」
 そっけない言葉だったがきちんと伝わる。彼は紗雪から手を離し、真っ直ぐ進んでいった。