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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: くろウサギ 〜ひと ( No.28 )
- 日時: 2014/05/24 17:48
- 名前: 暁 (ID: z5Z4HjE0)
気がつくと紗雪と優の目が合っていた。鬱陶しいような目つきでこちらを見ている。さすがにずっと目を合わせるのも気まずいので目線を黒板に向かわせる。そしてしばらくするとまた優に戻した。また、窓の外を見ている。とても暇そうだ。
窓は満開の桜の色で染まっていた。
「も〜! 聞いてよっ」
グチグチと飼育小屋の中にいる兎達に不満を言う紗雪。腕をブンブン振り回しては眉を上げる。しばらくすると、白い兎の一匹がブーブーと鼻を鳴らした。大きくて低い音。その音で紗雪は我に帰る。
「ご、ごめんねぇ……」
この音は不機嫌な証拠。かまってあげなかったからだろう。でもあまり甘やかすことはできない。が、撫でる。
「うぅ……もう、こんな話しないから……」
深々と頭を下げ謝っても謝りきれない。大好きな兎さん達にストレスを与えては駄目だ。
……明菜と氷雨に言おう。
「あ、そろそろ帰らなきゃ」
立ち上がり制服についた砂を手ではらう。
「……ばいばい」
白兎達は不満そうに金網をガジガジかじっている。外に出たい、とわがままを言っているようだ。
でも、黒兎はいつも通り。
紗雪に興味がないようで青い空と淡いピンク色の桜を見上げていた。
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