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Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった【新】 ( No.19 )
日時: 2014/04/11 17:41
名前: 美奈 ◆5RRtZawAKg (ID: HPUPQ/yK)

第8話
俺は靴を脱いで、家に上がった。
やっとパンを食べ終わって、手についた細かいカスをパンパンと払っている悠馬を素通りして、階段を駆け上がった。
とにかく、自分の部屋へ急いだ。
…だって、家に帰ったら式神が挨拶してきたんだ!マトモじゃいられない。
とにかく、とにかく今は、自分一人でこの状況を整理する時間が欲しかった。

何が遊び相手だ、全く。人外のものと戯れるような物好きじゃないんだ、俺はっ!
父親の作った代物に、本気で腹を立てていた。
いっそのこと、父親と式神にまとめて呪詛でもかけてやろうかこの野郎、と思ったのだが、父親から絶対呪詛返しが来そうなのでやめることにする。

こんな具合で無駄に脳内がぐるぐると回転している間、背中の方で少し気配を感じた。

「………?」

『だって、何も言わずに部屋にこもるなんてひどいよ。こう、もっと赤裸々にお互いのこと話すとかさぁ…』

すぐ後ろに、悠馬がひょろっと立っていた。背筋がゾワっとした。
"ゾク"っと、じゃない。
"ゾワ"っと、だ。

「ド、ドアあいた音しなかった…ぞ…?どうやって入って来た…??」

ただ瞠目する俺を、悠馬は非難の色を帯びた目で見つめる。

『いやいや、そこは壁からするっ、とね。ねぇ京汰、僕は式神なんだよ?人間じゃないのさ。陰陽師の血を引いているんだったら、こんなことでビビっちゃダメだよ。男じゃないぞっ☆』

ずっと黙りこくって口を開かない俺に、悠馬はさらに続けた。

『なぁんで黙ってるのさ。最初からそんな態度じゃ、この先色々心配だよ』

それ、こっちの台詞だろ完全に。
…どうもこいつも父に似て、お節介な所がありそうだ。