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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった【新】 ( No.33 )
- 日時: 2015/01/20 20:08
- 名前: 美奈 (ID: WEFYk.MN)
第18話
俺はとにかく、とにっかく必死で勉強した。
"必死"という言葉の意味を本当に理解したのも、ここまで奮い立ったのも…そして、人外のものとガチンコ勝負したのも人生初だ。
飯も忘れてシャーペンを握り続ける俺に、悠馬は意外にも色々と良くしてくれた。お節介もこの時ばかりは嬉しいものだ。この期間だけは俺の邪魔にならないように、あえて"壁からするっと方式"で部屋に入ってきた。この式神は毎日、炊事→お洗濯→お掃除を文句言わずにやってくれた。たまには俺も料理くらいは手伝うのだが、この時は例外だった。…まぁ、買い出しは未だ俺がやるしかないが。
だって、悠馬が一人でスーパーに入ったら大変なことになる。商品とカゴが浮きながら動き出す。万引きかのように見えて金はなぜかきちんと払われる。人外のものが見える才能、いわゆる"見鬼の才"がない一般ピーポーは、どうあがいても律儀にカゴを持って、法にのっとったお買い物をしている悠馬を見ることはできない。…大パニックだ。一ヶ月間は奥様方のネタになること間違いなし。そんで、その話は彼らによって、時間をかけながら色々盛られていくことになるのである。…あゝ、悲しい末路。
悠馬の作ってくれる特製カレーや特製オムライスを俺は自分の血に変え肉に変え、一心不乱で学生の本業を務めた。おかげで、はじめて問題集のノートを期限日に出すことができた。教師にも、心を入れ替えたと思われたようだ。これは式神によって得た、人類の大きな一歩だと考えている。
…明日から、中間テストだ。
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