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Re: 俺の恋敵は憎たらしい式神だった ( No.59 )
日時: 2015/02/17 20:05
名前: 美奈 (ID: Oh9/3OA.)

番外編#3
ー悠馬くんの社会勉強3ー

ある日のこと。
俺がソファでゴロゴロしていると、悠馬が聞いてきた。

『ねぇねぇ京汰』
…さすがに学習した。この状況でのコレは、そう、そういうことで。うん、この手のやつには免疫がついている。
ってなわけで無視。

『ねぇー京汰ぁー』
はい、これもね、自分可愛く見せて甘えりゃなんとかなるパターンだよね。
残念だ。世はそこまでお前のマスクに甘くねぇよ。
ってなわけで黙殺。

『ねぇっ、京汰っ!!聞いてっつってんの!!もうお洗濯しないよっ!!』
なぬっ。これは新たな手法…!!仕方ない。致し方ない。しょーがない。
「何か用か、この無能で無知な妖怪が、俺に」
『好奇心旺盛な式神、と言ってね』
たしかに妖怪≠式神かもしれない。ただ、悠馬は違う。
何か苛立つほどに可愛くて、何か腹立つほどに見下してきて、何か憎たらしい恋敵なんだ。不可解なんだ。俺の中では悠馬=妖怪なんだ。
「…で、今日は何だ。ブルーマウンテンとキリマンジャロの違いを言えってか」
『惜しい!』
「あ?何だよ、本日のテーマは山か」
『違うよっ!…ブルーマウンテンにキリマンジャロといえば……!!』
「山」
『コーヒーね』
「…あっ」
『カフェラテとカフェオレの違いってなあに?』
「わかんねぇ」
『ふーん』
「…え」

3分後。

『きょーたっ』
「どーせ俺みたいな底辺に聞いてもわかんねーよ、ムダだムダ」
『自覚してる…!』
「あ?てめ今何つっ…」
『何でもないよ幻聴だよ怖いねぇ風の便りかなぁ』
「上手な言い訳しろよ」
『すみません』

3分30秒後。

『藤井京汰くん』
「そこで改まるな気色悪い」
『そんなことないよ、僕の存在自体がまず気色悪いからね』
「…自覚してる!」
『ん?!』
「…今日は風の便りが多いね、悠馬くん」
『…カプチーノとエスプレッソとモカとアメリカンとウィンナーコーヒーとアフォガードとカフェロワイヤルってどう違うの??』
「知るか!ってか世の中にはそんなにたくさんコーヒーの種類あんのかっ」
『あるみたいだよ』
…と言って、俺の電子辞書をさも自分のもののように手に取る悠馬…
おいてめぇ、式神のくせして電子辞書扱える身分かよ……。
「私物だから!どんとたーーっち!!」
『僕のものは京汰のものでもあって、だから京汰のものは僕のものでもあるんだよ。僕と京汰はいつも一緒』
「…何か嬉しいけど気持ち悪いからその理論!帰れ!存在がうるさい!」
『どこへ?』
「黄泉でも冥土でもどこへでもっ!」
悠馬はふっと黙った。
なんだ?どーした。おい。悠馬くん…
『京汰!!言霊大事に扱えーーーーいっっっ!一応仮にも恐らく陰陽師だろーーーーぉっ!!!!!』
「………え、ゆーま怖い、ひっ」

・・・・・
なんで?なんで僕はいつも、京汰に勉強の邪魔されちゃうの…。





諸悪の根源はお互いにあるということを、いつ彼らは自覚するだろうか…。