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番外編#4
ー京汰のgood nightー

明日は待ちに待ったバレンタイン。
...と、世間では騒がれている。
俺はもちろん、蚊帳の外。まぁいいんだ。慣れてるし、人から哀れみの眼差しと共に義理渡されるより、ほっといてくれた方が、あげる方もコストダウン、こっちもメンタル的に健康を保てるしいいんだ。
そんなバレンタインデー前日に、家の中で甘い香りが漂っている。言わずと知れた、チョコレートの香りが。
台所でせかせかと働き蜂の如く動いているのは......
「悠馬？！？！？！？！？！」
ちゃっかり母親のエプロンを着用している悠馬が振り向いた。
『んー？だって明日は何の日だと思ってんの京汰』
「ば、バレンタインデーだろ、だったらなんで男がチョコ作ってんだよ」
『だってジーチョコ作んなきゃ』

じーちょこ...？何それおいしいの？？？
と俺が一人で混乱していると、悠馬はあっけらかんとした表情で言ったのだった。
『アルファベットのGに、チョコでGチョコだよー常識常識』
「知るかそんなもん、ってかGって何」
『ghostのGだよ、僕にも友達くらいいるよ！それに化け物は性別関係なくバレンタインあげるんだよ、僕は鈴木さんと仲いいから鈴木さんには特別なチョコ作るのー☆』
俺は再び混乱した。
「鈴木さんて、隣の家の...ん？鈴木さんまだ生きてるだろ」
『旦那さん亡くなられたでしょ？その旦那さんと仲いいの！』
「え、だって旦那さんて3年くらい前に亡くなってるはずじゃ」
...三途りばー渡ってるはずじゃ......
『僕と仲いいから成仏したくないんだって！三途の川を泳いで引き返したみたいだよ。なんか嬉しいー☆だから鈴木さん好きー☆☆☆』
泳いであの世から逃げられんのかよ...！
「待て待て待て、旦那成仏してないのかよっ！！！成仏させろよっ！！！！化けて出るだろーがっ」
【おお！京汰くん久しぶりー！！！】

声の主を振り返ると、死んだはずの鈴木さんが上半身だけで挨拶していた。
俺はぶっ倒れた...



という、夢を見た。