コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オカルト研究部には天使がいるっ!(合作)イラスト有り ( No.26 )
- 日時: 2014/05/10 22:36
- 名前: 夕陽 (ID: p8.Ij.U2)
番外編
過去編〜堂本 隼人〜
「ねえねえ、アヤちゃん」
「なあに?」
僕の言葉にアヤちゃんは振り向いた。。
「あのね、アヤちゃん。読み聞かせの時間だって」
僕は先生から言われたとおりにアヤちゃんに伝えた。
「分かった。すぐ行くね」
その言葉を聞いて僕はクラスに戻った。
アヤちゃんがクラスに来ると先生が
「綾乃ちゃん、ここに座ってね」
と空いている席を指差した。
「うん」
アヤちゃんはその席に行く。
アヤちゃんが席に着いたことを確認すると先生は読み聞かせをはじめた。
「今日は裏世界の話だよ」
そう前置きをして先生は僕たちの反応をうかがうように見回す。
僕はいつも通り読み聞かせをめまいを感じる頭をこらえつつ聞いた。
読み聞かせが終わった。
「アヤちゃん、今日の話面白かったね!」
僕はアヤちゃんに話しかけた。
アヤちゃんと話すのは好きだ。
だって、めまいを感じないから。
「うん、そうだね」
アヤちゃんはそういってにっこりと笑う。
この笑顔で何度めまいがなおった事だろう?
もう、覚えることが出来ないほどだ。
「僕も裏世界、行きたいなあ」
僕の何気ない一言にアヤちゃんはピクリと反応する。
「それでね、願いを叶えてもらいたいな。だからいい子にしないとね。裏世界にいって願いを叶えてもらえるように」
「そうだね」
僕の言葉にアヤちゃんが深く頷いた。
「もしかしてアヤちゃんも裏世界いきたいの?」
僕は気になって聞く。
「うん、そうだよ」
アヤちゃんは普通に答える。
「じゃあ、なんかお願いあるの?」
僕は初耳なのでもっとよく聞こうと身を乗り出す。
「うん、そうだよ」
「どんなの、どんなの? 教えて!」
どんな話だろう? すごく気になる。
「隼人君、そんなに身を乗り出すと落ちるよ」
アヤちゃんに注意されたので椅子に座りなおす。
「で、どんなの?」
姿勢を正してもう一度聞く。
「秘密! 隼人君はどんなお願い?」
ごまかされてしまった。
質問された事には答えなさいといつもママに言われているので答える。
「僕はね、病気を治してもらいたいんだ!」
めまいがよく起こるという病気が。
でも、病院にいったとき何も言われなかったから違うかも。
「……病気?」
不思議そうに聞き返えされてしまった。
「まあ、病気といってもときどきめまいがする程度なんだけどね」
僕は笑った。
「そうなんだ」
そして、会話が終わった。
それから十年以上の月日が経った。
嫌な事もあったし、つらいこともあった。
でも、アヤの笑顔を見てると、そんなものがなくなってしまうんだ。
とっても不思議だけど。
そして僕は、裏世界にいった。
これは、アヤには絶対に秘密だ。
あと、他の皆にも。