コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: オカルト研究部には天使がいるっ!(合作)イラスト有り ( No.28 )
日時: 2014/05/18 19:45
名前: 夕陽 (ID: 6vEo4atf)

番外編
過去編〜新庄美樹〜

「ここが私が明日から住む部屋ですね……!」
 私は高校生になり、古いけど学校に近いアパートに住む事になりました。
 今日からお父さんもお母さんもいないですが、共働きだったので一人にはなれてます。兄弟姉妹もいませんし。
 とりあえずこういう時は隣の部屋の人に挨拶が基本ですよね。

 このアパートは2階建てで一つの階に部屋は三つの計六室。そのうち私は2階の端である201に住む事になっている。だから202に住んでいる方に挨拶をするだけだ。
 緊張しちゃいます……。

 私はあまり人と話すことがないからかどもってしまうことも多いですし、もしかしたら「よろしくお願いします」で終わってしまうかもしれません……。
 大家さんが言うには「森園さんはぶっきらぼうだけどいい人だよ」と笑ってましたから大丈夫だと思うのですが……。男性か女性かも分からぬまま私は挨拶をしにいきました。

「すいません……。隣に引っ越してきたものですが……」
 インターホンを鳴らして軽く呼びかけます。小さい声なので聞こえないかもしれませんが昔からそうなので変えるのは難しいです。
 しばらくすると、チェーンをはずさずに扉を開けました。
 半開きの状態で顔が出てきました。
「どちらさま?」
 ふわふわとした肩に届く茶色の髪の毛を持つ女の人でした。年は大学生くらいでしょうか?
「は、はじめまして。隣に引っ越してきた新庄と申します」
 そう言ってもってきた包装紙にきれいに包まれた箱を見せる。
「そういえば大家の人が言ってたわね。えっと、新庄美樹ちゃんだっけ?」
 いきなり名前を呼ばれたことに驚きつつも、
「は、はい、そうです。これからよろしくお願いします!」
 とお辞儀をする。
「うん、よろしくね。これから学校も一緒みたいだし」
 え? 学校も?
 ということは、この方も……?
「アタシも新庄美樹ちゃんと同じ紅葉学園に通っているの。美樹ちゃんって呼んでもいい?」
 私の想像は正解のようでした。
「そうなんですか……! これから先輩としてもお願いします。私のことはなんて呼んでも良いです」
 そこで自分は先輩のことをなんて呼ぼう? と考えます。名前は知らないけど苗字でいいでしょうか?
「森園先輩……って呼んでも良いですか?」
 ベタだけど苗字+先輩でいいでしょうか?
「こちらこそよろしく。あと呼び方はできれば綾乃先輩にしてほしいかな」
 森園先ぱ……綾乃先輩は最初に比べるとだいぶやわらかい表情で微笑んでくれました。
「では、綾乃先輩これからもよろしくお願いします。……綾乃先輩は部活、何部に入っているんですか?」
 確か私の行く学園“紅葉学園”は部活動が盛んで数え切れないほどの数があるといいます。少しでも参考にしたいので聞いてみました。
「アタシ? アタシはね、オカルト研究部に入っているんだよ」
 そういっていたずらっぽく微笑みました。
「オカルト研究部、ですか?」
 私はふと昔友達とやった怪談調査隊を思い出しました。
「うん。もしよかったら来てね」
 こんな調子でしばらく話をしました。
 家に入れてもらったとき、愛くるしいぬいぐるみや乙女チックな部屋を見たときには思わず歓声を上げてしまいました。
「このこと、学校では内緒にしてね」
 綾乃先輩は恥ずかしそうに言いました。
 かわいいものが大好きなのは学校では秘密ということも教えてくれました。
 そして時が去り、私は自分の部屋に戻りました。

「ただいま帰りました」
 いつも通り返事がないですが仕方がないです。
 ……逆に返事があったら怖いです。家には誰もいないはずですから。
 私は家に帰ってからカレンダーを確認します。
 三日後の日にちにはくっきりと“入学式”とかいてありました。
「友達できるでしょうか……」
 私は人が集まってくるような人ではないので友達作りには頭を悩ませます。
 でも、一人頼りになる先輩と知り合えました。
 その先輩の言葉を私は思い出します。
「オカルト研究部に入ってるんだよ」
 オカルト研究部。
 楽しそうです。もし入れるなら入ってみたいです。
「オカルト研究部、行ってみようかな」
 私はカレンダーを見つつ呟きました。





     *     *     *
1600字くらいの長文を読んでくれてありがとうございました!
当初予定していた「シリアスだけど全体的にほんわか」にならなくてすいませんでした。
次回は本編更新する予定です。