コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- オカルト研究部には天使がいるっ!合作 イラスト・声有り ( No.38 )
- 日時: 2014/07/21 19:13
- 名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)
10話 悪魔の調査
「今日は悪魔の調査だ!」
部活動開始時間ぴったりに翔太の声が部室中に響き渡った。
「だろうね」
綾乃も納得、というように頷いた。
「ただ、問題があるぜ? どうやって調べるんだ?」
和輝は手を挙げて翔太に疑問を投げかける。
「それが問題だよな……」
翔太は視線を彷徨わせる。
「天使ちゃんは何か案、ありますか……?」
「うーん、僕が悪魔だったらすぐに契約して呼び出されないようにするのだ!」
美樹の質問に天使は悩みながらも意見を出す。
「確かに。悪魔は契約すれば呼び出されないもんね。でも、そう簡単に契約者見つかるかな?」
奈美が無邪気に疑問を指摘する。
「一応出来るのだ。人間がこうなりたいと強く望めば自分から出て行くことも出来るのだ」
「そうなんですか〜。でも、私もこうなりたいっていう願い事いくつかありますが悪魔なんて出てこないですよ〜?」
「それは、お前らの欲が足りないからなのだ。欲深い人間に悪魔は引き寄せられるからな」
そうすると紗奈も納得したようで追及をやめた。
「じゃあ、欲深い人間を探せば良いのか?」
翔太の問いに
「そうなのだ! あと、昨日の今日だからそんなに遠くまでいけないはずだしここら辺を徹底的に探すといいのだ! ただ、見つかっても迂闊に悪魔と契約したか聞かない方がいいのだ!!」
天使がマシンガントークで返す。
「何で?」
「悪魔と契約した事がばれると悪魔が願いを叶えられなくなるからなのだ! そうすると二度と悪魔を呼び出せないから契約した人は困るのだ!」
「なるほどね。確かに欲深い人間ならそうするわね」
綾乃は頷いて一つの推論を述べる。
「ここら辺で欲深い人間、調べれば絶対引っかかるよ」
「なんでだ?」
「だって相手は急いでいる。だからここら辺でとりあえず仮の契約をしてるはず。後もう一つ条件が。すぐにお願いを使ってくれそうな人。契約したら破棄は出来ないらしいからね。アタシたちに呼ばれないようにしつつ、出来る限り遠くに行くためのカモを見つけるためにね」
綾乃は少しずつ推測を話した。
「綾乃先輩、すごいです!」
美樹は尊敬のまなざしで綾乃を見てる。
「そんな事ないわよ」
そういいつつも綾乃の顔は少し赤い。どうやら照れているようだ。
「後もう一つ条件があるぜ」
その空気に和輝が割り込んだ。
「きっと悪魔はこの学園にいない」
「その根拠は?」
綾乃は邪魔されたと感じ少しぶっきらぼうに尋ねた。
「だって、俺たちが一番調べやすいのはここじゃないか。そんな場所に悪魔が契約を持ち込むとは思えない」
「でも、灯台下暗しっていうじゃない。いる可能性は十分あるわよ」
綾乃が異論を唱える。
「確かに人間だけだったらいるかも知れねえ。でも、俺たちには天使がいる」
「それが何よ?」
「天使なら悪魔を見つけることが出来るんじゃねーのか? そう思ったらこの学園関係者には契約を持ちかけてないと想像できる」
「確かに僕には人間以外のものを察知する能力があるのだ!」
「樽井君、すごいです!」
天使が肯定し、美樹は和輝をほめた。
「やるじゃない、樽井」
「副部長こそ」
影でライバルの関係が芽生えたことを争いの原因である美樹は気付いてない。
「じゃ、じゃあ今すぐ探しましょう!」
美樹は立ち上がって大声で叫ぶ。しかしそれを制止する声が上がった。
「いや、今日は天使に任せる。悪魔でもなんでもいい、人間以外のを見つけてきてくれ」
「でもその間私は何をすればいいんですか!? ただ待ってるなんて出来ません!」
いつもと違う美樹の剣幕に皆驚いた。
「大丈夫、僕たちにはやることがある」
そしてニヤリと笑う。
「おじいさんの所へ行くよ」
その言葉に去年までいた部員が反応する。
「あの人のトコに?」
「……代償は何にする?」
「私達の寿命、吸い取られるのは困るよ?」
「おじいちゃんはたしか不思議な話が好きだったはずだから寿命は吸い取られないと思うよ〜? でも誰が話するの〜?」
次々に反応する部員達に新入部員の二人は目を丸くする。
「そんな人がいるんですか……」
「おじいさん、って言うのは仮名か?」
「まあ、会えば分かるよ」
そういって翔太は微笑んだ。