コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

オカルト研究部には天使がいるっ!合作 イラスト・声有り ( No.40 )
日時: 2014/08/05 13:05
名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)

11話 おじいさん

「ここが、おじいさんの家だよ」
 翔太が家の一つを指差す。
 今翔太たちがいるのは住宅街。
 その中に建っている二階建ての家がおじいさんの家らしい。

 その家は特に目立つような外観ではない。
「まあ、入ってみようよ」
 翔太がチャイムを鳴らす。
 すると間をおかずに
「鍵は開いておるぞ」
 声がした。おじいさんという名前には似合わない若々しい声と、おじいさんのような口調がミスマッチだ。
 翔太がドアを開けると、そこには推定30代の男性が立っていた。

 目は芯の強さが表れているようなつり目。しかし顔はそこまで厳つくはない。そのことにはじめて会う一年生の二人はほっとする。

「で、今日は何をお願いしに来たんじゃ」
 おじいさんは顔を一ミリも動かさずに聞く。
「おじいさんは分かってるでしょ?」
 翔太が代表して話を進める。
「まあ、分かっとるが。……悪魔の強制契約法が知りたいんじゃろ?」
 おじいさんは当たり前のように翔太が考えていた願いを当てた。
「悪魔の強制契約法? なんだ、それ」
 和輝がおじいさんに質問する。
「そいつは知らないようじゃな。はじめてみる顔だが、新入りか?」
「ああ、俺は樽井和輝って言うんだぜ。よろしくな、じいちゃん」
 和輝は怖いもの知らずだ。厳つくはないがそこそこ怖い顔のおじいちゃん相手に思いっきりタメ口を使っている。
「そっちのお譲ちゃんも新入りかい?」
 おじいさんは美樹に話しかける。
「ひゃ、ひゃい! 新庄美樹って言います。よ、よろしくお願いしましゅ」
 美樹はいきなり話しかけられて思いっきりかんでいる。
 そんな正反対の二人を見比べしばらくおじいさんは黙り込む。
「(どうしたんだ? じいちゃん)」
「(も、もしかして自己紹介かみすぎたことを怒られるのでしょうか……?)」
 そんな二人の体感時間が5時間を過ぎたころ、おじいさんは口を開いた。
「男の方の名前は狼、女の方はうさぎだな」
「おじいさんは、こうやって人に動物の名前をつけて呼ぶんだ」
 翔太がそう説明すると二人は
「(なんだ、そういうことだったのか)」
「(私がうさぎっぽいという事はおどおどしすぎということでしょうか……?)」
「アタシはチーターって言われているよ」
「……猫って言われる」
「紗奈はカピバラさんです〜」
「私はね、ひよこって言われているんだよ! 私、小さくないのに」
 先輩たちは皆それぞれ自分のあだ名を言う。
「部長さんはなんなの?」
 和輝が聞くと
「僕はそのまま。翔太ってよばれている」
 翔太はそう答えた。
「で、話は戻すけど教えてくれる?」
 脱線した話を戻す。
「いいが、今教えてもおぬしの頭には入らないじゃろう。明日来い。明日にはその関係の蔵書を用意しておく」
 おじいさんはそういって
「もう、帰れ。天使が情報をつかんだみたいじゃぞ」
 帰りを促した。
「ありがとう、おじいさん。また来るよ」
 翔太はそういって外に出た。

「っていうかじいちゃん、普通に若かったよな? 何でおじいさんって言ってるんだ?」
「ああ、そのことね」
 翔太の代わりに綾乃が答える。
「あの人、オカルト研究部創立時からお世話になっているのよ」
「は? オカルト研究部って学校できてからずっとあるだろ。確実に50年超えてるのにお世話になっていたのか?」
 意味が分からない、というように和輝が突っかかる。
「だから、その通りの意味。あの人のことおじいさんって呼んでるの。分かった?」
 綾乃は詳しく説明する。
「なるほどな。分かったよ。……じいちゃん、すげーな」
「じゃあ、早く学校に戻ろうか。天使が情報つかんできたみたいだし」
「明日もあそこに行くんですか?」
「ああ。それで悪魔強制契約について聞く。このことについてもあとで話すからな」
 翔太たち7人は学校に戻っていった。