コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- オカルト研究部には天使がいるっ!合作 イラスト・声有り ( No.41 )
- 日時: 2014/08/03 11:29
- 名前: 夕陽 (ID: KVjZMmLu)
番外編
過去編〜花谷紗奈〜
「肝試し、しない〜?」
この美菜の言葉が、私達の不思議な体験に誘う一言だった。
この時、
「うん」
と頷いてなかったら私は、こんな悲しい思いなんかしなかっただろう。
「じゃ、午後7時に学校に集合ね〜?」
美菜の言葉に三人は頷く。三人とは私と莉那と加奈。
私たち4人は皆性格が違う。
美菜はマイペースで癒し系。
莉那は委員長をやってるしっかり者系。
加奈はボーイッシュなかっこいい系。
私は頼まれたら断れない大人しい系。
「本当に学校に勝手に入っていいの?」
莉那は不安げに問うと
「学校は集合だけだよ〜。目的はお墓だから大丈夫〜」
マイペースな返事が返ってきた。
「じゃ、また後で」
加奈はすごいスピードで走り去ってしまった。
流石リレーでアンカーをやり五位から二位までごぼう抜きを達成した少女だ……と私は思った。
「紗奈も来るよね〜?」
「うん、皆が行くから」
一人だったら行かないだろうけど、皆が行くなら話は別だ。
怖いことさえも楽しい。
悲しいことさえも面白い。
午後7時。
私は学校に着いていた。
既に美菜と莉那はついていたから三番目だ。
「遅れてごめん」
加奈も私が来てすぐに着いた。
これで全員そろった。
「じゃあ、行こう〜」
美菜の言葉で四人は肝試し会場であるお墓へと行くことにした。
「なんか怖くなってきたね!」
全然怖くなさそうに加奈が言う。
「幽霊なんて、どうせ偽物でしょ? 私は先生に怒られる方が怖いよ」
そういう莉那は少し怖がっている。
「まあ、とにかく行こう?」
美菜がそう言って、お墓に入る。
私もそれに続くように、お墓に入った。
「結局何もなかったね」
加奈が少し残念そうに言う。
ゴールはもうすぐなのにお化けが出てこなかったのが不満なんだろう。
「い、いろいろあったじゃん!」
小さい音でも怖がっていた莉那が言う。
「莉那は、風で葉っぱが揺れていた音でも怖がってたでしょ」
私は少し笑って言う。……そういう私も結構怖かったけど。
「じゃあ、もう帰るか」
美菜がそういったとき、何か変なうめき声が聞こえた。
「ぅぅぅぅぅぅ……」
小さくて何言っているかは聞き取れない。
けど、逃げなきゃ! と感じ、すぐに逃げる。
皆同じことを考えたようですぐに逃げる。
加奈が一番速く次に美菜、私、莉那という順番。
しかしここで悲劇が起こった。
「痛ッ」
美菜が転んでしまった。
助けたいがここで立ち止まったら二人とも化け物の餌食になる。
それに美菜は結構速い。
私が助けなくてもすぐに起き上がり私を追い抜くだろう、と考え私は助けたい気持ちを押し殺し、逃げた。
「皆、いる?」
一番最初に逃げた加奈が問いかける。
「私はいるよ」
私は答える。
「わ、私も……」
さっきの恐怖を忘れられないのか莉那は小さな声だ。
「美菜は?」
加奈がそう言って辺りを見回す。
でも、美菜はいない。
もしかしたら化け物に……。
誰も言わなかったがそう考えた。
「もう、帰ろう?」
無言の空間を壊すように私は声を上げた。
「そうだね。帰ろうか」
三人は自分の家へ帰った。
私はその夜夢を見た。
美菜に関する夢を見た。
「あのね、私魔界に連れ去られたの。だけど、皆が魔界に来てくれて、魔界の牢獄から私を助け出してくれたら元の世界に戻れるから。お願い、助けて!」
美菜が白い世界でそう言って笑った夢。
私はその言葉に反応しないうちに美菜は消えてしまった。
次の日、学校に行くと美菜はいない存在として扱われていた。
美菜の存在を知っているのは、昨日の三人だけ。
その事実に気付いたとき私は引きこもりになった。
そして、美菜はいるという真実を疑わず私の人格に美菜を作り出してしまった。
要するに二重人格。
そして美菜の人格は徐々に紗奈の人格をのっとり始め……。
新たな“花谷紗奈”が生まれた。
そのころから学校に行き始めるようになった。
加奈も莉那も私に関ることはなくなった。
けど、新たな友達が増えた。
私は高校生になった時、こんな部活を見つける。
“オカルト研究部”という部活を——。
—END—
あとがき
結構暗い話になってしまった……。
はじめはもっと明るい話にする予定だったんですが、いろいろ暴走した結果こんなことに……。
次は本編更新します。