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Re: オカルト研究部には天使がいるっ!合作 参照2万感謝! ( No.64 )
日時: 2014/11/30 18:36
名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)

番外編
魔術編〜樽井和輝〜

「じゃあ俺はこれで」

 和輝が指を指したのは

——子供に戻れる

 だった。

「子供に、戻れる……? なんでそれにしたの?」

 不思議そうに首をかしげる藤井先生。
 いつもの和輝とは少し違うからだろうか。

「子供に戻りたいなと思ったので。まあ弟にそれ言ったら俺のほうが子供って言われましたが」

 和輝は苦笑気味に言う。

「樽井君の子供時代ですか〜。少し気になります!」
「確かに……。どんなかんじかしら」
「頭がいい子供かな?」
「意外とやんちゃだったり」

 オカルト研究部の女子組は和輝の昔を予想していた。

「それでどうやったら出来るの?」
「ショウ、知らないの?」
「まあオカルトは好きだけど、魔法系は……」

 男子組はやり方について思案する。

「子供の頃の写真を使うらしい。でも今写真持ってないし無理だな……」

 必要なものを読み上げてできないことにがっかりする。

「それならあるのだ!」

 机のしたから小さい影が飛び出す。
 天使だった。
 小さな手にはどこから持ってきたかわからない写真を握っている。

「お前、それどっから持ってきたんだよ!」
「アルバムからなのだ!」
「そういう意味じゃねーよ! 何でお前が持ってるんだよ!」
「必要になると聞いてもってきたのだ!」

 準備がいいな……と周りの人たちは感心しつつ和輝はひったくるようにして天使の手から写真を取り上げる。

「で、この時代に戻れるんだよな……。小学校の入学式だから小一のときか」

 和輝は深呼吸して写真を握る。
 どうやらこのようにして子供に戻るらしい。

 しばらくすると、和輝の体を白い光が包む。
 その光はまぶしく皆反射的に目をつぶってしまう。
 そして目を開けると、

「あれ? 樽井君は?」
「僕だよ、僕!」

 和輝の替わりに小さい子供がいた。
 面影は残っているが今よりも優しそうな顔だ。

「可愛いです〜」

 美樹はそう言って和輝の頭をなでる。

「か、可愛いって言われても嬉しくないし!」

 可愛いという言葉が好きではなかったのか頭がなでられるのが嫌だったのか美樹の手から逃げるように翔太の後ろに回る。

「ご、ごめんなさい……」

 嫌われたと思い美樹は涙目だ。

「謝る必要はないけど……」

 和輝も少し涙目になってしまった。

「それにしても印象全然違うなあ」

 翔太がひとり言のように言う。

「確かに。今は涙目とかに絶対ならないだろうしね」

 綾乃は笑いながら言う。

「べ、別に涙目なんかになってないし!」

 綾乃の発言に怒ったが軽く睨んだだけで翔太の後ろに再び隠れる。

「先生、これっていつまで続くんですか?」

 隼人が訊ねると

「5分くらいらしいわよ」

 藤井先生は本を見て言った。

「じゃあすぐ戻るわね」

 綾乃はそう言って会話を切り上げた。
 その途端、また和輝の体が白い光に包まれた。

「早くない!?」

 誰かが叫ぶ。
 皆は目を閉じ数秒後、

「やっぱりこっちの方がしっくり来るな」

 元の和輝がそこにいた。

「まあ樽井君はそっちの方がかっこいいですね!」

 美樹が無邪気に笑う。
 その言葉と笑顔に和輝は嬉しいような恥ずかしいような混ざった表情で

「ありがと」

 一言呟いた。

「いいわね〜、青春って」

 その様子を見て藤井先生はニヤニヤして呟く。

「それじゃあ最後は新庄さん。よろしくね!」

—To be continued—