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Re: オカルト研究部には天使がいるっ!合作 参照2万感謝! ( No.68 )
日時: 2014/12/31 17:22
名前: 夕陽 (ID: jP/CIWxs)

番外編
行事編〜相川翔太〜

「あけましておめでとう!」

 僕は朝起きて両親にそう挨拶した。


 今日はお正月。
 初日の出を見るには少し時間が遅い。

 お雑煮を食べた後僕は初詣に出かけることにした。

     *     *     *

「結局集まったのはこの4人か……」

 一緒に初詣行かないか? という誘いに乗ってくれたのは僕以外に綾乃、隼人、美樹ちゃんの4人。
 奈美は兄弟で行くらしく、紗奈は事情があるといってキャンセル。
 和輝にいたっては出てくれなかった。
 まあこのメンバーでもいいだろう。
 ただ、一人だけ一年生の美樹ちゃんには居辛いかも知れないけど綾乃がフォローしてくれるだろうし。

「まあしょうがないでしょ」

 綾乃はそう言って

「早く行かないと混んじゃうよ?」

 と急かした。
 ここから神社まで10分もかからないが、そこそこ人が来るので早めに行きたいのだろう。

「……でもなんでこの神社?」

 隼人の言いたいことはもっともだ。
 ここは電車で5駅くらいのところ。
 みんなの家から近いところなら自転車で十分だ。

「ここには都市伝説があるからね」

 しかし、理由なく遠くにいるわけではない。
 サイトでこの神社に関する都市伝説のようなものを見つけたのだ。

 この神社に初詣に来るとささやかな願いが叶う。

 本当かどうか分からないが少し気になる。
 そのことをみんなに話すと

「それは気になるわね。試してみましょ!」
「私もやってみます」
「……面白そう」

 と賛成の様子だったのでその神社に向かった。

     *     *     *

 初詣も終わり折角なのでどこかで軽食でもとろうという流れになった。

「皆、叶うといいね」

 “ささやか”というのはどこまでを指すかわからないが僕の願いはどうなるのだろう?

「そうね」

 綾乃は自信のあふれた顔で言った。
 きっと綾乃は本当に“ささやか”な願い事なのだろう。

「私の願い、叶うのでしょうか?」

 少し心配そうに言ったのは美樹。
 先ほど綾乃と一緒におみくじをしたところ綾乃は小吉だったが、美樹は凶だったので心配する気持ちは分かる。

「……僕は、叶ったよ」

 隼人はそう言って前方を指す。
 そこには、隼人によく似た男の人と、ふわふわした髪を持つ女の人がいた。
 その二人はとても楽しそうに歩いている。
 恋人とは少し違うがお互い信頼している感じだ。

「あの人、隼人のお兄さん?」
「……うん。店長さんと仲良くなるようにってお願いしたんだ」
「どうやら叶ったみたいだね」

 楽しそうに歩く男女を見て僕はそう思った。

     *     *     *

 近くにあったカフェに入り一息つく。
 ここのコーヒーはとても美味しいな、と思いながら一口飲む。
 すると突然、子供の泣き声がした。
 泣き声の方向を見ると転んでしまったらしい。
 膝をついて泣いている。
 お母さんもトイレに行ったのかどこにもいない。

「大丈夫!?」

 そんな子供を放っておけなかったのか綾乃がその子に手を差し伸べた。

「うぐっ……痛い、痛いよ〜」
「血は出てないし大丈夫ね。立てる?」
「うん」

 少し落ち着いたのか素直に立ち上がる。

「偉いね。いい子いい子」

 綾乃が頭をなでると気持ち良さそうに目を細める。

「あ、お母さんだ! お姉ちゃんありがとう!」

 その子はお母さんを見つけたらしくお母さんの元へ去っていった。
 お母さんはペコリと頭を下げて元の席に戻った。

「お願い、叶ったわ」

 綾乃はその背中を見送ったあとポツリともらした。

「感謝されたい、って願ったの。叶ったわ」
「じゃあ私のお願いもかないました! 綾乃先輩のお願いが叶うように祈りましたから!」

 どうやら二人とも叶ったらしい。
 あとは僕だけか。
 やっぱりこの願いは贅沢かな……?

 喫茶店が出た後も僕の願いが叶うことはなかった。

「そろそろ帰ろうか」

 僕が切り出すと

「そうね。もうすることもないし……」
「最後に部室寄って来ませんか?」

 美樹ちゃんはこわごわと訊ねる。

「別にいいよ。じゃあ行こうか」

 僕たちは学園に行くためにバスに乗った。

     *     *     *

「新年なのに変わらないわね」

 綾乃が部室を見渡す。
 それに習うように僕も見回してみるが確かに去年と同じだ。
 魔法陣が描かれたテーブル、魔法関係の本が入っている本棚……。

「確かに」

 そう思ったとき、ドアが開けられた。

「あれ? 皆来てたんだ〜」
「私達たまたま会って部室に寄ろうとしていたけど偶然だね!」

 紗奈と奈美がドアから入ってきた。
 僕は少しこの後の展開に期待した。

「え? 何で皆いるんだよ!?」

 続いて和輝も来た。

「なんとなく」
「俺もなんとなくここ行きたくなちゃったんだけど……。何でだろ?」

 どうやら僕の願いは叶ったようだ。
 「オカルト研究部の皆で集まりたい」という願いが。

—END—

あとがき
今回は行事編です!
皆別々の行事を書いて行きたいと思います。(正月編にしてもいいんですがそれだと来年までかかったら困るので……)
次は誰が何の行事を体験するかお楽しみに!