コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: オカルト研究部には天使がいるっ!合作 参照2万感謝! ( No.76 )
- 日時: 2015/03/24 11:23
- 名前: 夕陽 (ID: IcK/upD1)
番外編
行事編〜花谷紗奈〜
7月7日。
彦星様と織姫様が出会えるといわれている七夕の日だ。
短冊に願い事を書いているけど、私は願い事が叶ったことなんてただの一度もない。
でも、同じ願い事を書き続けてしまうのは、私がひそかに期待しているからだろうか?
デパートに飾ってあった笹の横に短冊がある。
笹は既にいくつかの短冊がぶら下がっており、色鮮やかだ。
私は去年と同じ言葉を、去年より少し上手になった字で綴る。
「美菜がこの世界にもどってきますように」
こんなことできる訳ないのに。
皆、美菜の存在など知らない。
でも、それでも、私はあの4人でもう一度遊びたいんだ。
美菜がいなくなってから、3人で遊ぶことはほとんどしなくなった。
二人とも他のグループに入ってしまったから、私は一人だった。
「こんなこと、できるわけないよね……」
でも、もし神様がいるとしたら。
お願いです、美菜をこの世界に戻してください。
そう願いながら笹に短冊をつけた。
* * *
7月8日、私は必ずすることがある。
「やっぱり、ダメだよね……」
小四の頃の連絡網を見てため息をつく。
私の後ろに書かれていた美菜の名前は消えたままだった。
期待してはいけないと思いつつも期待してしまう。
「もし美菜が元の世界にもどれるなら私はいなくなってもいいのに……」
そんなばかげた妄想をしてしまう。
叶うはずないのに——。
「本当にそう思うのか?」
しかし、この言葉に反応する声があった。
あたりを見回しても誰もいない。
「驚かせてしまったらすまない。しかし、本当にそう思うなら半分なら叶えてあげることができるぞ」
私がいなくなる代わりに、美菜がこの世界にもどる!?
私はこの提案を受け入れることを決意した。
「はい! そう思います!!」
「では、少し目をつぶっていてくれ……」
私は目をぎゅっと瞑った。
* * *
私がふと目を開けると、よく分からないところにいた。
何色かも分からず、音もあるのかよく分からない不思議な世界。
感覚がぼんやりしている感じだ。
「これで、美菜は君の体を使えば生きていけるようになったよ」
「私の体を使う!? 美菜の元の体に戻してくれないの!?」
聞いていなかったことに驚き声をあげる。
「だから言っただろう? 半分叶えると」
……美菜がこの世界にもどってくる、というだけで頷いた自分も責任があるのだろう。
でもこれはあんまりではないか。
美菜が私の体で過ごすのは不自由だろう。
勉強も運動神経もぎりぎり人並みの私だ。元々運動神経はあまりないものの勉強や人望がたくさんある美菜は大変だろう。
「でも……!」
「安心しろ、あいつがお前の体でここに来ればお互い自分の体にもどれる。それにお前は1週間に一回はお前の体にもどらないといけないからここにこなくても一週間に一回は戻れる」
「そういう問題じゃなくて……」
こういうとき口下手な私がもどかしい。
「まあそれだけ言いに来た。じゃあな」
声が去っていったのかもう聞こえない。
「こんなはずじゃなかったのに」
私は泣こうとしたが涙が出なかった。
体がないから当たり前だ。
—END—
あとがき
紗奈ちゃんのときはシリアス率高いな〜と思います。
なぜでしょう、あんなにほんわか似合う子いないと思うのに……。
過去編から狂った感はありますが←
ちなみに今回は過去の話なので一人称は“私”です。
次回は和輝かな?
何にしよう……?