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Re: オカルト研究部には天使がいるっ!合作 参照2万感謝! ( No.80 )
日時: 2015/06/06 23:06
名前: 夕陽 (ID: WOWRJwNN)

番外編
行事編〜新庄美樹〜

「し、新庄っ! 明日暇か……?」

 美樹は部活が終わり帰ろうとした矢先、和輝に声をかけられた。

「明日……。確か土曜日ですよね? 大丈夫です、暇ですよ」

 その言葉に美樹は微笑んで返す。

「じゃ、じゃあもしよかったら一緒に出かけないか?」
「いいですよ」

 美樹が了承し、和輝がほっとする。
 しかし、和輝にとっては青天の霹靂のような言葉が背後から出た。

「もしよかったらアタシも一緒に行っていいかな?」

 不敵に微笑んでいるのは綾乃。
 その言葉に美樹も賛成する。

「いいですね! 綾乃先輩がいると私も楽しいです!」

 本当に嬉しそうな美樹の顔に和輝は、反論が出来なくなるのであった……。

「それにしても、和輝がクリスマスに美樹ちゃん誘うなんてね……」

 綾乃のひとり言は美樹には届かなかった。

     *     *     *

「美樹ちゃん、一緒に行こう?」
「ま、待って下さいー! 私、男の子と出かけるの始めてなんです。こんな格好でいいでしょうか……?」

 美樹は本気で考え込んでいた。
 ちなみに今は、淡いピンク色のワンピースだ。
 優しそうな美樹にピンクはよく似合う。

「むしろ部屋着でもいいと思うけど」

 綾乃は和輝がそこまで好きではないのでつっけんどんに言う。

「流石にそれは……。まあこれくらいでいいですよね! あまりおしゃれにするとデートみたいですし」


 綾乃は心の中で(本人は最初からその気だったけどね)と思ったが言わない。

「早くしないと遅刻するわよ? 遅刻の方が申し訳ないんじゃない?」

 と急かす。

「すみません!」

 美樹は時計を見て、慌てて白色のロングブーツに足を通した。

     *     *     *

「お、遅れてごめんなさいっ!」
「あら、早かったのね」
「大丈夫、俺も今来たとこだし。丁度5分前に来た」

 綾乃の毒を含んだ言葉をさらりとかわし、和輝は続けて、

「隼人さんと待ち合わせしたら少し遅れちゃったんだよね」

 爆弾発言をした。
 確かに隣には隼人がいる。
 綾乃はそのことに気付き目を見開いた。

「勝手に来ちゃって大丈夫……?」

 綾乃の変化に心配そうに隼人が聞く。

「だ、大丈夫」

 挙動不審な態度に和輝がにやっと笑う。

「綾乃先輩いつも、隼人先輩と兄弟でクリスマスパーティーしていたんでしょう? 本当は兄弟の方も誘いたかったんですけどね……」
「いい。来なくていいっ!」
「あ、綾乃先輩大丈夫ですか……?」

 美樹が心配そうに綾乃の顔を覗き込む。

「美樹ちゃんはこんなにいい子なのに……!」

 和輝をにらみつけると隼人は淡々とした口調で言った。

「……アヤは僕と一緒なの、嫌?」
「別に隼人のことは嫌じゃないわよ。嫌なのは……」

 綾乃は一度区切り、

「アタシが隼人と出かけようとすると必ずついてくる過保護兄貴のことよ!」

 綾乃が後ろを振り向くと、

「過保護っていうなら綾乃も同じじゃないかなあ? 美樹ちゃんが和輝君に……」
「それ以上言ったら、管理人さんに頼んで部屋の鍵変えてもらうよ?」
「ごめんごめん」

 涼しげな笑顔で久遠が立っていた。

「……なんでアヤのお兄さんがここにいるの?」

 隼人はすでにこのことにも慣れたのか呆れもせず淡々と言う。

「だって大事な妹がどこの馬の骨か分からない奴と出かけると聞いたから心配でね」
「アタシ、久遠には何も今日のこといってないし大体隼人がくることも知らなかったのにどうして知ってるの?」

 綾乃がもっともらしいことを聞くが久遠はさらりと

「愛の力」

 と答えるので無視をした。

「この人が綾乃先輩のお兄さんか。やっぱり似てるな」
「確かにそうですね! 雰囲気とか顔の形とかそっくりです!」
「俺が言ってるのは人の恋路を邪魔する性格ってことだけどな……」

 和輝と美樹が話し合っていると、

「とにかく、兄貴は来ないで! 美樹ちゃんにこんなお兄さんがいるとは思われたくない!」
「いいお兄さんだと思いますよ?」
「美樹ちゃんもこういっているしいいじゃん」
「美樹ちゃん、少しは空気読もう?」

 美樹はふんわりとした笑顔で久遠がついてくるのを肯定したので綾乃はげんなりした顔をした。
 よほど嫌なのだろう。

「まあとにかく行きますか」

 こうして5人はショッピングへ繰り出した。

     *     *     *

「ふう、疲れました……」

 美樹が公園のベンチに座る。

「ごめんな、連れ回しちゃって」

 その隣に和輝が座った。
 普段ならこの間に綾乃が座るが、今はいない。
 なぜなら隼人と久遠のケンカを仲裁しているからだ。

「大丈夫ですよ。楽しかったですし」

 美樹の笑顔が明かりがついたばかりの街灯の光で明るくなる。
 空はすっかり暗くなっており田舎なら星が見えるほどだろう。
 ここはそこそこ都会なので未だに一番星さえ見えないが。

「それならよかった」

 和輝がほっと息をつくとその息が白くにごる。

「綾乃先輩、いつ帰ってきますかね……?」
「しばらくは続きそうだけどな」

 原因は綾乃にはどんなアクセサリーが似合うか。
 綾乃が友達と遊ぶとき用にアクセサリーがほしいといったことから始まった。
 そろそろ1時間経つし決着はそろそろつくだろうが。

「そろそろ帰らないと親に心配されませんか?」
「大丈夫だよ。それより新庄は大丈夫なのか?」
「ええ。私、一人暮らしですから」

 少し寂しそうな笑顔で言った後、

「だから綾乃先輩は本当のお姉ちゃんみたいでとても仲良しです」

 今度は嬉しそうな笑顔で言った。

「それはよかったな。……そういえば、この公園夜にあかりがつくらしいって知っていたか?」
「いえ、そうなんですか?」
「ああ。そろそろだと思うけどな……」

 和輝がそういった瞬間、ぱあっときれいな光が周りの木につき始めた。
 木にはライトが装飾されており、枯れ木をきれいに彩る。

「綺麗ですね」

 目を見開いて見入る美樹に、和輝はふと(今なら邪魔者もいないし、告白しようかな……)とうっすらと考える。
 その気持ちは無邪気にライトアップを喜んでいる美樹を見ると更に膨らんでいき……、

「二人ともやっと見つけた」

 しかし、綾乃の言葉でしぼんだ。
 二人が振り返ると綾乃は二つの袋を持っていた。

「結局二人がすすめるものどっちも買ったわよ」

 視線に気付いたようで綾乃は説明をする。

「お疲れ様です!」

 美樹はやや空気を読まない発言をしてから、

「それでは、帰りましょうか!」

 ライトアップされた木を見ながら言った。
 少し名残惜しそうな様子に気付いた綾乃は、

「折角だし皆で写真撮らない?」

 と誘う。

「いいんですか……?」

 それでも遠慮気味な美樹に、

「いいのよ」

 と押し切り近くの人にスマホのカメラ機能を使い撮るように依頼する。

「早く並んで」

 綾乃の言葉に5人は一つの木の下に並んだ。
 そして何枚か写真を撮ってもらうとお礼をいい、

「さあ、帰りましょ」

 と歩き出した。

     *     *     *

あとがき
どうやら2700字位書いてしまったようです……。
読んでくれた方、お疲れ様でした!
美樹編って書いてあるのに美樹ちゃん主役っぽくなくてごめんなさい……。
次の番外編は何にしよう……?