コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: オカルト研究部には天使がいるっ!合作 参照2万感謝! ( No.81 )
日時: 2015/06/30 20:12
名前: 夕陽 (ID: WOWRJwNN)

26話 天界のカケラ〜紅葉学園〜

「最後の一個はここか……」

 翔太はオカルト研究部の部室で言った。

「実際はオカルト研究部室とは限らないけれど」
「でもおじいさんの話だとここの可能性が高いんですよね〜?」

 綾乃の言葉に紗奈が反論する。

「確かにここなら何でもありそうだよな」
「……同意」

 和輝と隼人も賛成のようだ。

「ただ、今まで部活動やっていたのに見てないってことはないんじゃないかなあ?」

 奈美がもっともな事を言う。

「確かにそうですよね。じゃあやっぱり別の場所でしょうか……?」

 美樹は皆の顔色を伺うようにきょろきょろしていると……、

「……!」

 突然瞳孔が大きく広がった。
 いつもは大人しそうなたれ目に驚きの色が浮かんでいる。

「どうしたの? 美樹ちゃん」

 その変化に気付いた綾乃が声をかけた。

「あ、ありますっ! ここにありました!」

 そう言って指差したのは魔方陣の真ん中のあたり。
 しかしそこには何もない。

「どういうこと? 何もないよ?」

 困惑気味に翔太が声をかける。
 しかし美樹は「あります!」の一点張り。
 普段は大人しい美樹の強情さに皆驚いていた。

「いや、俺には見えるけど。……というか俺と新庄しか見えないのかもな」

 少し考えてから和輝は納得したように頷いた。

「……あの果実の、せい?」

 隼人は和輝の言葉に思い出したように昨日のことを言う。

「多分そうだろうな。とりあえず天使にも見えるだろ? これで全部そろったじゃないか」

 そう言いながら和輝は天使の方を向く。
 天使は天界に帰れることが分かって嬉しそうな顔をしていた——それが和輝の予想だったが、実際は天使も困惑していた顔をしていた。

「おい、天使! お前には見えないのか!?」

 そして何故だか焦っている悪魔。

「ま、全く……見えないのだ……」

 少し震えた声で天使が言う。
 その目は少し涙目だ。

「一体どういうことだ?」

 和輝が深刻そうな様子に驚きつつ悪魔に聞く。

「天界のカケラは基本天界に住むものしか見えない。もしくは天界に行きたいと強く願っているもの。しかし一個だけ天界に住むことが許されているものしか見えないものがある」
「それがこの最後のカケラということか」

 和輝は誰よりも早く理解し次の言葉をつむぐ。

「そういうことだ。きっと昨日食べた果実は一時的に天界にいける果実だろう。反応が出ない人でも1週間くらいなら大丈夫だろう」
「でも、僕は食べてないから戻れないのだっ! 食べていたとしても一週間しか戻れないっ!」

 天使は泣いていた。
 瞳から涙をボロボロ流して。
 顔がくしゃくしゃになるのも構わずに。

「なら、この世界に住めばいいじゃない」

 その時、いきなり2頭身の影が現れた。
 ポフトだった。

「どういうことだ」

 少し怒った口調で悪魔が詰め寄る。

「だーかーらー、この世界に住めばいいじゃん。そうすれば帰る必要ないでしょ?」
「だが天使にはあちらの世界に家族がいる。天使だって家族に会いたいはずだ」
「今の時代電話くらいならいくらでも出来るでしょ〜? それにどうせあっちの世界でも一人暮らしだったしいいじゃない」

 あくまでも軽く言い放つポフト。

「でも回収してくれたのはありがと。天界のカケラ回収するの結構大変なんだよね〜」

 そこで一度切り、

「天界のカケラを集めると一つだけどんな願い事でも聞いてくれるらしいんだよね、天界の主が。だからこれを使って天界への道開けようとしたけどその必要はないか」

 可愛らしい、だけど悪意のある笑顔で微笑んだ。
 まるでこうなることは知っていたとでもいうように。

「じゃあ、私の願い叶えちゃおうかな」