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Re: 未来へ幸せを〜この夢を終わらせないで〜《参照600感謝!》 ( No.116 )
日時: 2014/06/08 18:17
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

九章

青が小学四年生になってすぐ。つまり私が幼稚園年少の頃だった。
父さんが家を出た。
幼い私はいつか帰ってくるものだと勘違いしたが、父さんは帰ることも、連絡をくれることもなく姿を消した。
それ以来青も母さんも、父さんの話をすると機嫌を悪くした。
母さんはまだ私には機嫌を悪くしたことを悟らせないようにしているが、青は隠しきれず、私にも睨みを利かせる始末だ。
忘れなければならない記憶として、父さんはひっそりと私の中にあった。
小学二年生にもなれば、私は父親がいないことを恥じるようになった。
ある日のこと。
私が忘れ物を取りに教室に戻ると、数人のクラスメイトがひそひそと話し合いをしていた。
不思議に思い、耳を澄ます。

茜ちゃんの家、お父さんいないんだって。
えぇ、どうして?
お母さんが言ってたんだけど、家をほったらかしにしたんだって。
嘘ぉ、かわいそう……。
かわいそうだよね。
茜ちゃんに、お父さんの話ししちゃだめなんだって。
「かわいそう」だから。

ーーーーーーーーー私は、かわいそうな子なんかじゃない。
大声で叫んで、私は教室を後にした。


小学三年生の梅雨。
おばあちゃんが倒れた。
親戚のおばさんたちは口をそろえる。

日泉家の長男が、おばあちゃんをちゃんと見ずに妹の迎えに行ったから、おばあちゃんが倒れたことに気づくことが遅くなった。

ひどい雨なのに傘を持たずに登校した私を心配して、母さんの代わりに青が私の迎えに来た。その間に、おばあちゃんは倒れ、息を引き取ったらしかった。