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Re: 夢のような未来を実現したいっ! ( No.13 )
日時: 2014/04/05 12:30
名前: みにょ (ID: /..WfHud)

優葉は不思議に思ったのか、本当に大丈夫?とか、ついにおかしくなった?とか言ってくる。
「おかしくなってないわよっ!」
「いててて…。」
優葉の頬をつねってみた。優葉はごめんを繰り返す。仕方ない。私は自分の優しさを褒め称えてから、手を離した。
「…なんか、すごいね。」
「は?」
ソファに戻ってから、優葉が言う。思わず私は素っ頓狂な声で答えた。すごいとは、頬をつねる力のことだろうか。だったら悲しい。
「未来じゃ、考えらんないよ。こんな楽しい時間を、誰かと過ごすなんて。」
まただ。また、彼は困ったように笑う。
しかしまぁ、そりゃあ未来じゃ考えらんないのかもしれない。なにしろ、人を殺して楽しいを得る人間の世界だ。誰かと過ごす楽しいは、そこにはないだろう。
優葉は反対しているから、誰かと過ごす楽しいに憧れを持っていたのだろうか。
人を殺して楽しいなんて、馬鹿げていると。
誰かと過ごす楽しいを、味わいたいと。
けれど、世界は変わらない。優葉は、両親のいない世界を生きてきたのだから、多かれ少なかれ、悲しい思いや辛い思いになったことはあるだろう。
「優葉は、私達といて、楽しい?」
気づいたら、口が動いていた。優葉はすこし驚いて、唖然としたまま頷いた。
それなら、もう十分ではないか。何故、両親を失ってなおも懸命に生きる彼を、ひとりぼっちという悲しい世界のルールに縛らなければならない?


「じゃぁ、優葉は私達の家族だよっ!」


優葉の目が見開かれる。優葉の家族に、なってやる。半ば強引に。私自身の願望を込めて。
「…なんか、照れくさいな…




でも、ありがとう。」
優葉が初めて、嬉しそうに笑った。