コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 夢のような未来を実現したいっ! ( No.16 )
日時: 2014/04/14 12:51
名前: みにょ (ID: y3VadgKj)

私は精一杯に叫ぶ。怖くてたまらなかったが、これしか思いつかなかったのだ。男は不機嫌そうに舌打ちし、私を床に抑え込む。
「お嬢さん、うそは泥棒の始まりだぜ?」
それはあなたの経験談ですか。
そう聞こうとした口を、男は手で塞いだ。モゴモゴと足掻くも、状況は悪化。手を縛られ、足を縛られる。
中には優葉がいるはずだ。確か、水を飲むといって台所に入った。私の帰りが遅いのを感じて、もうじき玄関に来るだろうか。
そしたら、優葉はどうなる?

怖いのは自分の命が消える事じゃない。
お金が取られる事でもない。

家族の命が消えることだから。
「お嬢さんには悪いが、お嬢さんの人生、ここで終わりだ。」
男は私の首に手をそえる。ヒンヤリとした男の手が、その存在を主張していた。
動けない。
死ぬんだ。まだ小6で。
でもまぁ、いいか。諦めよう。なすすべはもうないから。
私が死ねば、優葉のお母さんやお父さんは、死ななくてすむし、

優葉はきっと、幸せになれる。



「茜。」母さんの声だ。
「茜。」青の声もする。
「茜。これは、優葉の声だ。

「茜。」
…?誰の声だっけ、これ…。
ひどく懐かしい、昔に聞いた声。優しくて、暖かくて、気持ちいい。
あぁ、わかった。これは…

「茜。よく聞きなさい。」
「なあに?」
「子供が一番してはいけないこと。わかるかい?」
「うーん…。嘘をつくこと?…あ、分かった!イタズラしちゃだめ!」
「いいや。違うの。子供がしてはいけないことはね、嘘をつくことでも、イタズラでもないのよ。」
「…?じゃあなあに?茜の知らないことなの?」
「茜もよーく知っているよ。子供が一番してはいけないことはね。」


「お母さんやお兄ちゃん、大切な人より先に死ぬこと。茜が先に死んでしまうと、その人は、幸せになんかなれっこないよ。」


「分かったよ!

おばあちゃん!」






死んでたまるもんですか。
「誰か助けてっ…!」




「茜!」