コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 夢のような未来を実現したいっ!(4月22日タイトル変えます) ( No.26 )
- 日時: 2014/04/22 22:42
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
そういえば、あの時…。
「おばあちゃん…?」
おばあちゃんのことを思い出した。
くしゃくしゃにして笑うおばあちゃんの笑顔が、好きだったこと。
おばあちゃんの卵焼きが、世界一美味しいと信じていたこと。
お父さんがいなくなって、悲しむわたしをおばあちゃんも病気なのに励ましてくれたこと。
子供が一番してはいけないことを教えてもらったこと。
全て忘れていた。忘れてはいけない、大切な思い出。
「茜!」
「ぁ…。ハル…!」
顔を上げると、肩で息をした遥が来ていた。汗が垂れ、地面にシミを作っていく。走ってきてくれたのだろうか。
「ごめん…。忙しいのに…。」
「ホントだよ。まったく茜はさぁ?」
「うぅ…。」
ハルひ呆れたように言う。しかし怒っている様子はなく、勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
「だから早く話してよ。その方が、早く茜は楽になるでしょ?」
1秒でも早く楽になった方がいいでしょ。そう言って、遥は私の隣のブランコに腰を下ろした。
「あ、あのね…。」
さて、いざ話すとなるとどう切り出したらいいのやら。なんでも未来人の話だ。簡単に話す、というのも困難を極める。
未来人がやってきたんだなんて言ったら……
一回、病院行こうか、茜。
……死ねる。
そんなこんなで私が悩んでいると、遥は私の頬をつついた。って、はい?
「ちょっ何?!」
私は妄想を中断し、遥を見返す。そして、言葉を失った。
笑っていたのだ。遥が。今度は勝ち誇ったような笑みじゃなく、いつもの明るい笑顔。
「ゆっくりでいいからさ、整理できてないんでしょ?」
私は頷く。そうだ。整理なんて、できていなかった。わからないことが多すぎて、右も左も分からない状態。
「だから、整理できたら教えて。待ってるから。」
あぁ、私はいい友達を持ったみたいだ。
「…待たなくて、いいっ…。」
私はハルの服を握る。涙が出そうだなぁ。でも、踏ん張らなくちゃ。
「話す、から。行かないで。」
本当に弱々しい声になったけど。
遅くなったけど。
本当は、全然話せる気はしないけど。
怖くてたまらないけど。
決めたから。話さなきゃ。
「わかった。いいよ。少しずつで、大丈夫。」
大丈夫。
瞬間、私の心に暖かいものが注がれた。それはとてもくすぐったく名前もわからないが、しかし心地よい。そしてそれと同時に別の何かが、心から出て行くのがわかった。黒くて冷たい、鉛のようなものだ。
溢れかえったそれを、私は抑えることができなかった。否、抑える理由がなかった。
「どうしよう…!私ね、優葉に酷い事言っちゃった…!家族を、傷つけちゃったよぅ…!!」
咽び泣く私の背をさすりながら、遥はうんと、時折相づちをうってくれた。
私は、全てを打ち明けた。青に話した時より、ずっと、長かった気さえした。けれど、遥は飽きることなく、最後までまってくれたのだ。嗚咽が混ざり、涙を拭うのに必死で途切れ途切れの私の言葉を。私のことを、待ってくれた。
それがどうしようもなく嬉しかったのを、よく覚えている。