コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 未来へ幸せを〜どうかこの夢を終わらせないで〜タイトル変更した ( No.29 )
- 日時: 2014/04/25 21:42
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
「ただいま。」
いつもと何ら変わりない挨拶。おかえりと返す声がないのは、それを言ってくれる青もただいまと言ったからと、優葉が部屋にこもっているからだ。母さんは昼寝か読書かテレビか。どれにしても私の小さな挨拶など聞こえないだろう。
「あ、青…ついてきてよ…。」
素っ気なくされたのは私だけだ。母さんも、青も、優葉と普通に話しているという。差別だ。自分でもわかる。青がついてくる必要はないと。
案の定、青は断った。
「行ってこいヘタレ。」
私を無理矢理抱きかかえ、階段を上る青。
「た、高い高い!怖いっ!やめろよばかぁ!」
私は暴れる。高いし、怖い。というか、高いから怖い。大学生になった青は身長も伸びた。しかも階段となれば、叫ぶのも暴れるのも自己防衛のため。仕方ない。
が。
「ちょっ…!暴れんな!危ない危ない!」
ぐらっと、視界が傾く。ほんの一瞬の浮遊感に、私は声にならない声を上げる。落ちる………!
「何やってんの。」
「…は?」
朝、喧嘩した声。
つまるところ、優葉の落ち着いた声が聞こえて、目を開いた。体に衝撃はなく、青は何故か浮いていた。
浮いて……浮いて?浮いて?!
「ちょっ何?!」
浮いているのは青だけじゃない。私も同様に階段の下の床スレスレで浮いていた。兄妹そろって浮くなんて、聞いたことない。
辺りを見回してみると、階段の一番上に、ちょこんと白い狐が座っていた。もふもふとした毛が、やけにリアルで、現実味を帯びていた。
ゆっくりと、私の体が降りる。自力で立てるようになった時、狐が言う。
「片からみると一種の変態に見える。」
「酷くない?!」
まったく、口の悪い狐だ。喋ることに、私は驚かなかった。未来からきた妖と暮らす身だ。多少のことでは驚かない。
「…お前、優葉か?」
が、次の青の一言には酷く驚いた。狐がその瞳を閉じる。すると、みるみるうちに狐の姿がある人物に変わる。
「ゆ、優葉っ…?」