コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 夢のような未来を実現したいっ! ( No.3 )
- 日時: 2014/04/03 11:20
- 名前: みにょ (ID: uY/SLz6f)
耳は引っ張ってみるもとれない。作り物のはずなんだが…。
また、少年は随分と傷だらけであった。見るだけでも痛々しい傷は、どうやら刃物などでつけられているようだ。
そしてその傷だらけの少年を見捨てられるほど、私は薄情な奴ではない。母に許可をとり、少年は私の部屋で看病することとなった。兄は大学の部活で、試合だと言っていたため、帰りは七時くらいだろう。
「…ん…」
と、急に少年が苦しそうに声をあげる。近くに寄ってみると、額には汗がにじんでいた。クーラーも丁度良い設定にしたはずが、どういうことだろうか。
「…ごめ…ん…」
「ふぇ?」
一体、何を謝るんだ?私には到底理解できるはずなんでなかった。しかし、少年はさらに苦しそうにうなされ始める。これ以上は可哀想だ。私は少年の肩を揺すった。二、三回揺らすと、少年は居心地が悪いのか、薄っすらと瞳をひらく。少年の瞳は、あろうことか私よりも綺麗だ。吸い込まれそうな黒い瞳は、いつかテレビで見たブラックホールを連想させる。それに映る窓からの光が、星屑のようにさえ見えてしまう。
その瞳はしばらく焦点が合わずにいたが、ゆっくりと私を見た。視線が絡み合い、何故か緊張していく。
「誰?」
「こっちが聞きたいわよっ!」
「いでっ」
どっかの漫画のように、私は少年に縁を感じられないのだが…。
しかし、意外にも男子にしては柔らかな声だ。例えるならば、揺れる草木のような、そんな声。ま、まさか少女じゃないだろうな。
思えば線も細く、綺麗な顔立ちをしている。おそらく美男というか、可愛い系男子の類に入るだろう。瞳もあんなに綺麗で、見入ってしまった。
「まさか、女の子…?」
言ってしまったが後の祭り。一気に硬直した空気と私の心は、中々溶けそうにぬい。少年ははぁ、とため息をつき、じーっと私を見つめる。あれだ。ジト目というあれ。
「俺、男子だけど。」
どうやらご機嫌斜めの少年(確定)は体を起こし、いう。
「で、ですよねっ!いゃー私もそうだと思いましたよ?」
嘘です。思いましたよ。えぇ、思いましたとも。自分が惨めになるくらいにね。