コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 未来へ幸せを〜どうかこの夢を終わらせないで〜タイトル変更した ( No.31 )
- 日時: 2014/04/26 18:03
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
階段の一番上に、もう狐の姿はなかった。代わりに狐と対照的な黒髪の彼がいる。
優葉だ。
そこでやっと私は思い出した。優葉は白狐の妖だと。
真っ白な優葉も、ありかも…って、そうじゃなくて。何故狐になったのだろうか。いつも人の姿なのに、狐になる必要性はあまり感じられなかった。
「なんで妖になったか。考えてるんでしょ。」
優葉は足をプラプラさせて言う。図星だ。私は素直に頷く。
すると優葉は俺だってなりたくはなかったけどね、と前置きをして口を開いた。
「妖にならないと、力が使えないんだよ。」
「力?」
力なら、優葉はある方だ。あの時だって、小さな体で襲ってきた男をやっつけてしまったのだから。それも妖だからかもしれない。
「腕力とかじゃない。妖の…能力みたいなもんだよ。」
ますますわけがわからないと、私は首を傾げる。能力。漫画やアニメで見ると、化けたり浮いたりするあれかとは思う。が、それはアニメの話。現実はわからないことだらけだ。
「俺は白狐の妖。人に幸福を与えると言われる妖だ。本来ならば白狐は治癒能力を力とするんだけど、俺は空狐に育てられたから。」
妖狐は二つのグループに分けられる。善良とされる善狐と、野良の狐とされる野狐だ。善狐の代表格が、白狐である。白狐の子である優葉は、幼くして両親を亡くしているため、別の狐に育てられた。
善狐の中の頂点に君臨する、三千年を生きた妖狐、空狐だ。空狐は優葉をそだてた。戦争を起こした人間を、決して恨んではいけない。過去の人間を消す以外に、戦争を止める方法は、きっとあるはずだから。この血に染まったセカイを恨まない強さを持ちなさい。そう言い聞かせながら。
優葉も、空狐にだけはなついた。セカイを恨まずに。親を殺したセカイを、変えようとした。しかし、優葉はまたもや大切に誰かを失う。
まぁ、その話はまた今度の機会。
つまり、優葉は空狐に育てられたから、神通力という力を持ったという。神通力は詳細は不明だが物を浮かせる力は判明していた。
だがそれが使えるのは妖の、本来の姿の時のみ。