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Re: 〜未来へ幸せを〜どうかこの夢を終わらせないで ( No.52 )
日時: 2014/04/29 16:47
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

「ねぇ、茜。」
「ん?」
給食中、遥が話しかける。運良く同じ班である私たちは、給食も一緒だ。
幼い頃もそうだった。大抵は一緒にいて、隣に座って。
「あの噂、本当らしいよ。」
「噂?」
思わず聞き返す。あの噂とは、どの噂だろうか。遥の国語力が欠けているのが良くわかった。
遥はえっと、とかうんと、とか唸りながら言葉を絞って行く。慣れたことだから、私は気長に待つ。彼女はこういう子なのだ。急かすことは逆効果。
ようやく整理できたのか、遥は口を開く。
「秋に咲く桜だよ。」



遥曰く、私たちが通う稲田小学校の敷地のどこかにある桜が、二百年に一度、秋に咲くらしい。周りは紅葉に囲まれ、それはそれは美しいらしかった。
「みんなは秋桜って呼んでる。で、それが今年なんだって。」
秋桜。そのままだ。それに二百年に一度とは、よくわからない設定だと思う。
「その桜には願いを叶える力があるらしいけど、その願いは平和にする願いしかだめなんだって。いじめをやめてほしいーとかだったら、叶えるのかなー。」
遥は牛乳を飲み干す。因みに彼女のコンプレックスは身長だ。小さくて不便だから牛乳を飲むのだとか。
「あぁ、でもね、叶えられるのは一つだけ。二百年に一度咲く桜に平和を願うお願い限定でたったひとつだけって、制限多いよねー。」
さて、その噂を作り出した人間は、どんな乙女だろうか。見てみたいものである。私も牛乳を飲み干した。身長は平均だから、ゆっくりと。