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本は決して新しいものではなく、所々変色しているものだった。数十年くらいは学校に置きっ放しだったのだろう。
タイトルは……

稲田小学校 敷地内地図 二百年桜

驚いた。私は遥に、今回の作戦について話しただろうか。いや、話したことは話した。しかし、遥はずっと前から準備していたように、この本を出したのだ。昨日の時点では、むしろ興味がなかったことについての本を。
ゆっくり顔を上げると、遥は満足そうに笑って言った。
「もしかしたら、誰かのためにやるんじゃないかって思ってたの。まさか本当にやるとは思わなかったけどね。」
幼馴染、恐るべし。



調べてみると、色々なことがわかった。
まず一つ目。
秋桜が咲くのは、夜だけということ。
何故わかったかというと、二百年桜についてのページの絵に、月が描かれていて、夜だけと、手書きでメモがあったからである。
メモがあることから代々秋桜、もとい二百年桜を探した人がいるということもわかる。
そして二つ目。
二百年桜が咲く夜は、満月ということ。
これは推測だが、本の最後に月を記録した表があり、満月の日に赤丸が描かれていたことから、満月の日に咲くのではないかと考えた。
ならば、話は早い。








満月の日は、今日なのだから。