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Re: 〜未来へ幸せを〜どうかこの夢を終わらせないで参照300突破! ( No.74 )
日時: 2014/05/06 19:14
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

忽那 要(くつな かなめ)という人物は、とてもじゃないが好きにはなれないものであった。五年生の春に愛媛から転校してきた彼は、頭脳明晰、運動神経抜群、家庭科もできる天才的な少年だ。
女子からはモテモテ。以前修学旅行で寝る時に前髪をピンで止めるということが判明し、黄色い声が上がったのは記憶に新しい。
性格はクールだが眠気に弱く、寝顔は極上。時折見せる笑顔が、女子からの支持を得ている。
ならば何故、私が忽那、彼を嫌うのか。それはたった一つの理由からである。
「……日泉、答えはまだか。」
「ねぇ、忽那。その話もう一度してみなよ。あんたの人生にピリオドが…」
「あっそ。」
「最後まで聞けよおいコラ。」


忽那は私に、一目惚れをしたらしかった。理由は、ただそれだけ。



ーーーーーーーーーまだ彼が稲田小に来たばかりの頃。
まだ、私が彼を嫌う前。
彼は私を放課後の音楽室に呼んだ。当時、優葉や未来のことなど知る由もなかった私は、放課後ということに特に疑問も持たずに足を運んだ。
「日泉。悪いな、呼び出して。」
「大丈夫だよ。話って?」
オレンジの光が、私たちを照らす。忽那は少し俯いてから、顔をあげた。その目は真剣で、私はさらに首を傾げた。
「俺さ。」
「うん。」



「お前に一目惚れした。」




「…………は?」
あの時の忽那は、どこか苦しそうだった。いうのを、ひどく恐れていたような気もする。
「え、だって、まだ…」
まだ、小6だよ。
恥ずかしさで声も出ない私とは裏腹に、彼はしっかりと私を見つめる。
「好きだ。日泉。……いや、茜。」
「っ……!ま、また今度ね!」



ーーーーーーーーーーーあれから約半年。
忽那は何度かあの時の答えを聞いてくる。もちろん、私は答えられずじまいだが。