コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 未来へ幸せを〜この夢を終わらせないで〜《キャラ人気投票中》 ( No.88 )
- 日時: 2014/05/11 20:42
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
「…なおさら、叶えなきゃだめじゃんか。」
他の女子ならこの切なげな笑顔で一発なんだろうな。私は心の奥で思う。
果たして彼が自分のモテ具合を理解しているか。それはわからない。
「そっちこそ。おばあちゃんのためでしょ。」
私にも、よくわかるよ。そう小さく付け足すと、忽那はそっか。ともう一度うつむいた。
暫く沈黙が流れる。遥も首を突っ込んでいけないとでも思ったのか、ずっと黙ったままだ。
だれも話そうとしない、微妙な空気。
自分の願いは、叶えたい。
でも、目の前にいる級友の願いを踏みにじってまで叶えるのも…。
それが見ず知らずの、事情もわからない他人だったら、きっとこんな気持ちにはならないはずなのに。
「だあぁぁぁぁぁ!」
イライラする…!
「な、なに?!茜、どうしたの?!」
遥が戸惑いを露わにする。うん。申し訳ない、親友よ。悪いが叫ばなきゃ気が済まないなだ。
「こんなの、私たちらしくない!」
「…はぁ?じゃあ俺たちらしくってなんだよ。」
忽那が腕を組み、ため息をプラスして言う。
遥もいかがわしい目で見てくるからちょっと焦るが仕方ない。
しかし、私はそれを狙っていた。
「そういう態度が私たちらしいだよ。」
二人が顔を見合わせる。
私たちらしくなんて、簡単。
普通にしていれば、それは私たちらしいんだ。私たちだもん。
「…なんか悔しい。」
「何か言いましたか?忽那君。」
わざとらしく言ってみるが、忽那はうーんと伸びをして、夜空を見上げた。
相変わらず、空には満月と星屑が散りばめられている。
「…秋桜、あるかな。」
まるで独り言のような疑問。そこには、たくさんの不安が混ざっている気もした。弱音を吐かない彼が、精一杯のSOSを送ったようだ。
ならば、私はそれに応えなければならない。
「あるよ。きっと。探そう?探しながらどっちが願いを叶えるか、考えようよ。」
精一杯のSOSに、精一杯の大丈夫を。
「…うん。」