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Re: 未来へ幸せを〜この夢を終わらせないで〜《キャラ人気投票中》 ( No.90 )
日時: 2014/06/02 20:51
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

七章 コスモスは消えていく

「地図じゃこれなんだけど…。」
「茜が地図の読み方間違えてるんじゃないの?」
「第一、本の裏表紙に地図あるなんて知らなかったしな。」
「え、二人ともひどくない?!」
「でもこれ、桜じゃねぇし。」
「それは私に聞くべきことじゃないよね。忽那。」
「いや、二人とも落ち着こう?火花散らさないで?」
「遥は黙って。」「西夏は黙ってろ。」
「………いい加減にしろやボケェ!!」
「いてっ!」「ってぇ…。」



「なんで、コスモス…?」



古い本の裏表紙。
そこには秋桜のある場所の地図が載っていた。
今まで気づかなかったのも不思議だが、私たちは地図通りに道なき道を進んでいった。
そこにあったのが、


かれたコスモスだったのだ。
秋桜=コスモスだというのだろうか。
忽那がうつむいて、弱々しく呟く。
「コスモスだし、枯れてるし、やっぱり…」
願いを叶えるなんて、嘘だったのかもしれない。
ては、言えなかったのだろう。本当に、嘘になる気ぐしたから。
私も、少なからず落ち込んでいた。
優葉の未来が、戦争のない平和な世界だったら。
そしたら、きっと優葉はお母さんとお父さん、そして千咲ちゃんとも普通の家族でいられたはずなのに。
「…二人とも、そんなにがっかりしないでよ…!も、もしかしたら願い、叶えるかもよ?!このコスモス!」
遥が言う。彼女なりの優しさだ。それはわかっている。けど、今の私にとってはイライラすることしかできなかった。
「遥はわかってない。」
止まれ。止まれ止まれ止まれ……!!
「せっかく、優葉の力になれるかもって思ったのにぃっ…!
遥はわかんないよね。こんな無駄なことに付き合わせてごめんねっ!」
あぁ、嫌になる。
昔はよく青に、その反抗的な態度は直した方がいいとか言われたっけ。
遥はビクリと肩を揺らして、唇を噛んだ。幼い頃からの、彼女が泣きそうなときにする仕草。ぎゅって唇を噛んで、必死に堪える。
「また泣くの?いいよね、すぐに泣けて!泣いてあなたの気持ち理解したつもりでさぁ…!泣きたいなら泣けば?その代わり、もう帰って!」
「っ…!」
ボロボロと涙を流す遥。思えば、彼女が泣く姿は、随分久々にも思える。
あんなこと、言うんじゃなかった。言うつもりもなかった。
後悔で心が満たされていく。苦しい。
優葉と喧嘩した、あの朝と同じ感覚。
「日泉っ!」
突然、忽那が叫ぶ。その目は釣り上がり、私を睨みつけていた。
「…西夏は、お前のために頑張ってくれたんやないの?」
怒っているからか、忽那の言葉が四国のほうの言葉に変わる。
まるで別人みたいに思えて、私はぐっと込み上げる涙を堪えた。
「く、忽那、いいよっ…。私が、いなくなるから…!」
「駄目に決まっとる!西夏は胸張ってここに居ればいい!」
忽那が遥の手を掴む。遥はついに声をあげて泣き出した。
そんな遥を、忽那はあやすように背中をさする。
「悪かった。ちょっと強く言い過ぎたわ。だから泣かんといて?な?」
何度か遥は頷いた。まるで兄妹のようだ。
そして、忽那はもう一度私に目を向ける。しかしその目はもう怒ってはいなかった。

「…俺がいなきゃ、悩む事なくとりあえず願いを口にでくるのにな。
ごめん。日泉っ…。」
違う。違う。もうわけわかんない…!
「…違うっ…!私が、全部悪いっ…!」
遥にあたったのも。
忽那に謝らせたのも。
全部、消えてほしい。
全部、私がいけなかった。
崩れてしまう。この関係が。
楽しかった、三人で笑った日が。
そんなの、嫌だ。
そうなるくらいなら……!!







「お願いなんて、いらない!!!!」