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Re: 未来へ幸せを〜この夢を終わらせないで〜《キャラ人気投票中》 ( No.92 )
日時: 2014/05/12 16:29
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

崩れるくらいなら、私はなにも望まない。


さっきより、重みのある沈黙。
二人は目を見開き、私を見つめる。力を振り絞り叫んだ私は、肩で息をして、込み上げる涙を堪えた。
いや、涙だけじゃない。たくさんの思いが、溢れて消えていく。
その時だ。
一層強い風が吹き、草木を揺らした。揺らすだけじゃなく、葉たちを暗い空に飛ばしていく。いつか見た映画は、こんな感じで魔法が発動されたっけ。
目を開けていられず、足に力をいれながら目を閉じる。
踏ん張っていなきゃ、飛ばされそうだ。


「危ない!!」


グラッと体が傾く。右から、思いっきり突き飛ばされたのだ。
一体、誰が…?!
しかし、突き飛ばした人物を見るよりも先に、私の視界には目の前にあったはずの大木が倒れるのが見えた。
バキバキと特有の音を立て、他の草木をなぎ倒していく様はとても恐ろしい。
私が誰かに突き飛ばされなければ、私も草木同様、大木の下敷きになっていただろう。
ドシィッ…と、大木は勢い良く横になる。土埃がまって、咳き込む他、目にも砂が入ったようだ。ちくちくと独特の痛みが襲う。
と、私の上からも咳き込む声が聞こえた。
私よりもひどい咳だ。今度こそその顔を見てやろうと、目をこじ開けて上を見上げる。
「あ…!」
思わず声を挙げた。痛みを忘れ、目を見開く。
そこには、砂をかぶって涙目の忽那がいた。
「忽那、だ、大丈夫…?!」
助けてもらって大丈夫?はないだろうけど、私はこれしか声をかけられない。無念だ。
忽那は声を発しようとするも、咳が酷くて発せないらしい。
下手をしたら私より綺麗でサラサラな髪も、砂をかぶってパサパサだ。
「茜!忽那!大丈夫ー?!」
木の向こうだろうか。遥の声が聞こえた。
私は忽那を改めて見た。
パッと見ただけじゃわかりにくいが、所々擦りむいたり血が出ている。
見るだけで痛々しいのだから、本人はもっと痛いはず。
「私は大丈夫ー!けど、忽那が怪我してて…!」
「え、嘘っ!どうすればいいー?!」